過去ログ - 【ほむら】「あれから10年か…」
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966:第3話「奇跡と魔法と、その代償」 ◆7F2DwKbdfg[saga sage]
2012/11/16(金) 00:29:22.63 ID:GKd/flaB0

【恭介】
「・・・」

【恭介】
「・・・さやか」


電話を置き再び静かになった自分の部屋で、恭介は幼馴染の名前を呟いた。

彼女が行方不明になって、もう随分と年月が経つ。
警察どころか・・・彼女の両親でさえ、彼女の捜索を諦めてしまったくらいに――――。


でも、どんなに月日が経とうとも、恭介の心にぽっかり開いてしまった穴が埋まることは無かった。


【恭介】
「・・・今でも少し思うんだ」


【恭介】
「僕の腕が治らなければ・・・君はいなくならなかったんじゃないかって・・・」


自分の左手を見つめながらそう呟く恭介。
非現実的だと相手にされないかもしれない・・・しかし、恭介は本気で思っていた。

自分の左腕と引き換えに、彼女はいなくなってしまったのではないかと――――。

『奇跡と魔法』を手に入れる為の『代償』―――――それが・・・彼女だったのではないかと。


【恭介】
「こんな僕をみたら・・・君は、やっぱり怒るかな」

【恭介】
「・・・駄目だよね、仁美もいるのに」


中沢の言う通り、仁美と今の関係を続けるのは良い事では無い。
そんなことは恭介だって分かっている。

最初は仁美の片思いによる告白で始まった関係だったが、今では恭介自身も仁美のことをちゃんと愛している。
そして、彼女を幸せにしたいという気持ちも勿論あった。

だが・・・それでも、美樹さやかのことを考えると・・・どうしても一歩が踏み出せない。

恭介は、怯えているのだ
自分が結婚して幸せになれば・・・自分はさやかのことを忘れてしまうのではないかと。

そして―――――――――自分だけが、幸せになっていいのか・・・と。


【恭介】
「・・・本当に、僕は最低な人間だ」


さやかに恩返しをすることができない。かといって、仁美を幸せにすることもできない。
そんな中途半端な自分に恭介は嫌気が指す。

何が天才だ、と・・・・恭介は小さく呟く。

そして、今日は眠れそうにないな・・・・と心の中で思うのだった





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