過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
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424: ◆ES7MYZVXRs[saga]
2012/08/21(火) 10:47:33.00 ID:g/v3slEao



***



「……え?」

美琴は一瞬、目の前の光景をすぐに脳で処理できなかった。
足をピタリと止め、呆然とする。ドクンドクンと耳元で血液の流れがうるさく聞こえる。
普段なら、どうせ食べ物にでもつられてはぐれたのだろう、と呆れるくらいだ……が。
今は状況が状況だ。そんな楽観的なことは言ってられない。

すぐに辺りを見渡す。
彼女はついさっきまで隣に居た。はぐれたのならばすぐに見つかるはずだ。
そして、見つけた。

なんと彼女はここから100メートル程離れた歩道に居た。
その隣で彼女の腕を掴んでいるのは――――。


「結標……淡希…………ッ!!!」


霧ヶ丘女学院の制服を身にまとった彼女は、うっすらと笑みを浮べている。
普通に道行く学生達の中で、彼女の姿だけがやけに浮いて見えるのは錯覚ではないのかもしれない。
この平和な雰囲気の中、彼女の表情は暗い、“闇”の存在を感じる。

美琴は直感的にマズイと判断する。
結標淡希の能力は白井の上位互換と言ってもいい程強力な空間移動(テレポート)だ。
彼女の場合は、白井と違ってテレポートさせる対象に触れる必要がない。
その能力ならば、一瞬でインデックスが移動した事にも納得できる。

「くっ!!!」

もう人目を気にしてなどとは言ってられない。
美琴は磁力をフルパワーで使い、近くにあった花壇の土から砂鉄を真っ直ぐ結標に向かって飛ばす。
それはまるで蛇のようにクネクネと動き、道行く人の間を綺麗に抜けていく。
結標は少しも動こうともせず、ただ口元に笑みを浮かべたままこちらを見ているだけだ。

結標とインデックスの姿が消えた。
砂鉄の槍は何もない歩道の上に直撃し、霧散する。

「やられた……」

美琴はすぐに辺りを見渡すが、二人の姿はどこにも見つからない。
結標の座標移動(ムーブポイント)は、一度に800メートル以上の転移が可能だ。
これではサーチ系の能力でも持っていない限り、追うことなど不可能だ。

周りの人達はざわざわと、今起きた事に驚いているようだ。
美琴はそれを見て一瞬躊躇したが、覚悟を決めてスカートのポケットからメダルを取り出す。

そして、頭上に広がる青空に向けて超電磁砲を撃ちだした。



***



上条は第七学区をただひたすら走る。
周りの人達は皆驚いて上条の方を振り返るが、それには脇目もふらない。
左肩に鈍い痛みを感じて手で抑えると、どうやら出血しているらしい。
おそらく、土御門の銃弾がかすった時の傷だろう。

土御門は洗脳されいて、襲いかかってきた。
しかもあの様子から、狙いはインデックスだ。あの男は彼女の動向を気にしていた。

しかし、それが誰によるものなのかは全く分からない。
情報も足りなく、本当に手探りで闇雲に探していくしかない。
本来ならば、こういう時は土御門が色々と教えてくれるのだが、今回はそれを期待することはできない。
徐々に絶望感が胸に広がっていくが、気にしている場合ではない。とにかく動かなければいけない。


その時、ドンッ!! という轟音とともに、空高く光線が放たれた。

 


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