過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
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515: ◆ES7MYZVXRs[saga]
2012/11/25(日) 02:35:44.46 ID:VBYVP1jFo

「な……んだよそれは……」

「わりィが、オマエの都合なンざどォでもいい。ただ、俺は――――」

一方通行の頭の上に小さな輪が出現する。
垣根はそれを見て、あるイメージが浮かぶ。
ありえない。怪物と呼ばれる男にはあまりに不釣り合いなものだ。

一方通行は小さく、口を開く。


「この“世界”を守る、それだけだ」


その“世界”が何を指すのかも分からずに。
気付けば、垣根帝督の体は為す術なく地面に倒れ伏していた。

その光景は、神に背く悪人とそれを裁く天使のようだった。



***



「あははははは!!!」

夜の闇に染まった一室で、食蜂の口から楽しげな笑い声が漏れる。
手応えは十分。
もはや上条の精神は掌の上にあった。

「とうま!!」

「無駄よぉ。もう彼は私の虜☆」

食蜂はそう言ってインデックスに冷ややかな笑みを向けると、上条の方に向かって歩いて行く。

間違っていなかった。
食蜂の頭の中では、珍しく過去の記憶が流れていた。

どんなに仲の良かった友達でも、洗脳して自分を嫌うようにと言えばその通りにした。
無視して居ないもののように扱えと命令しても、やはりその通りにした。
それから怖くなって、やっぱり仲良くしてと命令すれば、すぐに以前と変わらない笑顔で接してくれた。

所詮はそんなものなのだ。
人との繋がりというのはよくドラマなんかでは美しく描かれている。
しかしそれらはあくまでフィクションの世界の話であって、現実はまるで違う。
現実はもっと単純だ。
この指を少し動かすだけで都合のいいように繋がりを生み出すことができる。

初めは苦しかった。
自分の生きていた世界はこんなにも脆いものなのか。
自分一人の力でこうも簡単に変わってしまうのか。
その失望感と絶望感が合わさって、もう生きているのも面倒くさくなった時もあった。

だが、時が経つにつれてそんな世界にも適応できた。
要はこの世界もフィクションのように考えればいいのだ。
周りの人間はそれぞれ自分の役を演じており、自分はその役を決める事ができる。
ただ、それだけ。
そう考えるだけで驚くほど楽になれた。

上条とインデックスの邪魔をするのも、大元の理由は単純なものだ。
魔術と科学の問題などを引き合いに出しても、それは単なる建前にすぎない。
要は人の心や絆を信じて何かを解決しようとするその姿がどうしようもなく気に入らなかっただけだった。

上条のすぐ近くまでやって来た食蜂はその左腕に抱きつく。
彼の目は光が灯っていなくうつろだ。

「ふふ、インデックスさぁん? 今上条さんにどんな事してるか教えてあげましょうかぁ?」

「どうせろくでもない事なんだよ」

「実は今、上条さんの中で私とインデックスさんの存在をそのまま入れ替えちゃってるんですよぉ。その意味、分かりますぅ?」

「それは……」

インデックスの顔に困惑の色が広がる。
食蜂とインデックスの存在を入れ替える。それはどういう事か。
 


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