過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
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802: ◆ES7MYZVXRs[saga]
2013/09/19(木) 05:08:20.98 ID:EJeQ9ZV8o

自分がそんな大層な人間だとは思わない。
今まで様々な経験をしてきたのは事実だが、それだけ自分よりもずっと優れているであろう人間はいくらでも見てきた。

だが、そこは関係ないのかもしれない。
自分自身がどう思っていようとも、誰かが自分の事を特別な存在だと思ってくれている、その事が重要なのではないか。
自分のことであれば何でも知っているなんていう事はない。それはこの旅行でも嫌というほど知ることができた。

だから、上条は素直に彼女の言葉を受け取って、誇ろうと思った。
好き勝手に動いて、一人の少女にとって大切な存在になる事ができた。

胸を張って、堂々と。



***



学園都市の自分の部屋に戻ってきた。
二泊三日の旅行だったのでそこまで長い間留守にしていたというわけではない。もっと長い時間部屋を空けていた時だってある。
それでも、何だか懐かしく感じてしまうのは不思議なものだ。

「ただいまー!」

隣ではインデックスが元気な声と共に部屋に入っていく。
その言葉を聞くだけで、彼女にとってここは帰る場所なんだと知ることができて、口元が緩む。

それから荷物やら何やらを整理して一息つくと。

(さて、と)

上条は少し考える。
これからの予定はある事はある。問題はインデックスだ。
しかし、日が落ちるまでは少しあるが、彼女の様子を見る限りは外に出るような元気も――。

「とうま、とうま。私ちょっと外行ってくるね」

「えっ?」

出鼻をくじかれた。というか、予想外の行動だ。
旅の疲れもあるし、彼女はきっとそのまま部屋で休んでいるものだとばかり思っていた。
むしろ、ちょっと外へ行きたいのは上条の方なのだ。

「ど、どうしたんだ?」

「ふふふ、秘密。ヒントを言うと明日のとうまの誕生日関係」

「あっ」

忘れていた。そういえば、と上条は思い出す形になる。
明日は上条の誕生日。彼女は既に土御門に話をつけていて、明日のデートの後はどこかの会場を借りてパーティーを開く事になっていた。
たかが高校生一人の誕生パーティーに大袈裟だと思ったが、土御門の話に寄るとそれなりの人数は集まる見込みらしく、この部屋では狭すぎるとの事だった。

そうやって沢山の人が自分の誕生日を祝ってくれるのは素直に喜ぶべきことなんだろう。
まぁ、その大部分がただ単にパーティーという騒げる場所を求めてやって来るような気がしないでもないが。

インデックスはもしかしたら上条に渡すプレゼントでも探すのかもしれない。それならば彼に事情を説明できないのも納得できる。
だが、上条からすれば不安な事もあるわけで。

「なんつーか……お前を一人で外に出すと凄まじいトラブルを引き起こしそうで、上条さんからすれば嫌な予感しかしないのですが」

「むっ、何なのかな人をトラブルメーカーみたいに。というか、とうまにだけは言われたくないんだよ」

「そりゃそうだろうけどさー。やっぱ心配だろ、ほら、学園都市だって決して治安がいいとも言えねえしさ」

「んー、あ、そうだ! じゃあ他の人と一緒っていうならいいよね? 舞夏とか!」

「舞夏かぁ……」

確かにインデックス一人にするよりかは随分マシだ。
それでも何かの拍子にスキルアウトなんかに絡まれて「おいなんだテメェこら」みたいな事になったら対処しきれない可能性もある。
……少し心配しすぎか? ただ、まぁ、舞夏にそんな危機が迫ったら土御門が黙っていないだろうし、彼女自身もメイドとしてそういう時の対処法を心得ている可能性もある。

「……分かった、それで頼む」

「了解! それじゃ、行ってくるねー!」

そう言ってインデックスは小走りで部屋を出て行く。
その直後、隣の部屋から舞夏を呼ぶ声が響いてきた。流れるような展開だ。


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