過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
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◆ES7MYZVXRs
[saga]
2013/09/19(木) 05:09:09.16 ID:EJeQ9ZV8o
(俺も行かねえとな)
上条の目的はズバリ、明日のデートのプラン構築とプレゼントの加工。
その二つの目的を達成するために、上条には既に一人頼るあてがあった。
デートの経験があって、手先も器用な人物。あの男だ。
旅行中に壊れたケータイの修理が終わるまでの、使い慣れない代わりのケータイを出して電話をかける。
『おっす、上条。どうした?』
電話に出たのは元スキルアウトの浜面仕上だ。
彼には滝壺理后という恋人が居て、それに手先も器用だ。
「おう、悪いんだけどさ、ちょっと手伝ってくんね? 明日の、ほら、デート関係で」
『……ほうほう。流石の大将も好きな子とのデートは緊張する、ってか?』
「う、うるせえな……」
ニヤニヤとからかうような彼の表情が透けて見えるようだ。
だが、言っていること自体は何の言葉も挟めないほど正しいことなので、特に何か言い返す事もできない。
『ははは、分かった分かった、俺に任せろ…………って言いたいところなんだけどな』
「え、ダメか? 何か用事でもあるとか?」
『まぁ、そうだな。ちょい先約が居る。つってもそんな長くかかんねえだろうし、時間置いてくれりゃあ大丈夫だぜ』
「そっか……実はさ、プレゼント用の加工を任せてえんだけど、それって今日の明日で済ませられるか?」
『お、何だあんたもその用事か』
「あんたも?」
『あ、いや、何でもねえ何でもねえ。加工の種類にも寄るが……どんなもん作ってほしいんだ?』
「えーと……ほら、指輪……とか」
『指輪……ふむふむ、指輪ねぇ……』
「な、何だよ楽しそうだな文句あんのか! それより、できんのか?」
『ん、そのくらいならすぐできんな。つかそんなに大事なものなら素直に業者に頼んだほうがよくね?』
「急ぎなんだ。こんな慌ただしい仕事受けてくれるか分かんねーだろ。コネがあるわけでもねえし」
『なるほどな。うっし、分かった分かった。そんじゃ作ってやる。こっちの用が済んだら連絡するわ』
「悪いな。礼は必ずする」
『気にすんなって、あんたにゃ借りがあるんだ。このくらいじゃ返せねえ程のな。じゃな』
「あ、おいっ」
そっちこそ借りなんて気にするな。それを言う前に切られてしまった。
おそらく偶然ではないだろう。上条がそう言うと読んで、何かを言う前に意図的に通話を終わらせたのだ。
何というか、意外とそういう所は揺るぎない部分があるものだ。
***
浜面に電話をかけてから一時間とちょっと後。
上条は彼から連絡を受け、アイテムのアジトへとやって来ていた。
「尾行……なし、か?」
一応確認しておくが、上条自身は別にそういう感覚に優れているわけでもないので、確信は持てない。
場所は、とあるデパートの人気のない掃除用具入れ。その奥の壁を三秒置きに一度ずつ三回ノックする。
すると、ガコンという音と共に何かが外れる音が聞こえる。
「お邪魔します…………うおっ」
奥に広がっていたのは、西洋風の豪華な部屋だった。
床には高級そうなカーペットに、ソファーは見るからにフカフカ。更に雰囲気作りの為か暖炉まである。煙突はどこに繋がっているのか。
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