過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
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982: ◆ES7MYZVXRs[saga]
2014/05/01(木) 02:48:05.91 ID:wiguRyO8o

「なぁ、インデックス」

「んー?」

不思議と、心は穏やかだ。
そして、上条はそのまま言葉を紡ぐ。
遠く美しいものまで届く道までの、第一歩を踏み出すために。


「俺さ、お前の事が――――」



***



どさっと、重苦しい音が辺りに響いた。

雪降る夜の第七学区。
人通りもないこの辺りでは、その音は大きく聞こえる。

人影は二つ。
一つは白い修道服の上に黒いコートを纏った銀髪の少女。
もう一つは長い漆黒の修道服を身に付けた赤髪の少年。

イギリス清教第零聖堂区「必要悪の教会(ネセサリウス)」。
魔道書図書館禁書目録(インデックス)と、炎の魔術師ステイル=マグヌスだ。

ステイルは雪の上に倒れたもの……上条当麻を気だるげな様子で無理矢理起こす。

「まったく、この男の右手のせいで魔術が使えないものだから重労働だね」

「えっと、ごめんね。でも、こんな所に寝かせておくわけにはいかないから……」

「別に君に文句を言ったわけじゃないよ」

そう言って迷惑そうな視線を上条に向けるステイルに、インデックスは苦笑いを浮かべる。
上条の意識はない。
それをステイルが引きずっている。

インデックスは手元の霊装に目を向ける。

「ここで魔術反応出しても大丈夫なのかな? しかも私の」

「極一部の魔力を限定的に解除するだけだから許可は下りているよ。それに、これで最後だからね」

「……そっか。それならいいんだけど」

そう、これで最後。

イギリス清教や学園都市が不安視したのは、上条とインデックスの別れ際だった。
どんなにそれまで上手くいっていたとしても、その別れ方でインデックスの精神状態は大きく変わってくるかもしれない。
それによって遠隔制御霊装に悪影響を及ぼせば元も子もない。

その不安はインデックス自身にもあった。
だからこうして、イギリスへ渡る前日からステイルがやって来ていた。
これも全ては、彼女の精神状態の維持のために万全を期するためだ。

インデックスは病院でステイルから受け取っていた霊装を発動させた。
他ならない、上条相手に。

ずっと近くに居たからこそ、彼の右手への対処法も分かっていた。
体全体に及ぶ魔術であれば、右手によって打ち消されてしまう。
しかし、頭にピンポイントに叩き込むようなものはどうしようもない。

インデックスは直感的に察知した。
先程の上条の言葉の先を聞いてはいけない。
それを聞けば、おそらく自分は、この心はただでは済まない。

上条を引きずりながら隣を歩くステイルは、白い息を雪空に吐く。
煙草は吸っていない。



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