過去ログ - 魔王「世界の半分はやらぬが、淫魔の国をくれてやろう」
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333: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2011/12/12(月) 05:43:09.33 ID:UzZKBwkmo
前日の件を考慮してか、消化に優しく、それでいて確かな風味と滋養のあるメニューだった。

最初に出されたスープは、口に運ぶと上品な香りと風味が広がる。
どれだけ煮込んだものか。
恐らく、勇者が倒れてからずっとか。
夜を徹して灰汁を掬い、具材の栄養が無駄なく溶け込み、それでいて、くどくはなく、優しく染み込み、胃を労わるような。
そんな難題を、彼女は一晩中、追求していたのかもしれない。

その後も、勇者の身を第一に考えたメニューが続く。
既に体力は回復していたのだが、一口ごとに体力が更に増すような。
とにかく彼の体力を回復させようと、考え抜かれた皿ばかり。

勇者は、舌鼓を打ちながら、ずっと脳裏から離れない『事実』をも同時に噛み締めていた。

二度と、この国の朝を味わう事はできない。
彼女が起こしてくれる事は無い。
素晴らしい朝食も、穏やかで静謐な空気も、全てだ。

勇者「……美味いよ。いつも通りね」

堕女神「勿体無きお言葉です」

褒められ慣れたか、慌てる事も、赤面する事も無い。
だがそれでも、彼女の口元には綻びが見える。


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