過去ログ - 魔王「世界の半分はやらぬが、淫魔の国をくれてやろう」
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563: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2011/12/17(土) 23:46:19.35 ID:0fXm8d2Co
炸裂した地点及び、そこと勇者の左手の間に、帯電した空気が充満する。
落雷で砕けた石畳と玉座が、砂埃を上げて視界を塞ぐ。
魔王の肉体が焦げた匂いは漂わない。
炸裂前に何らかの防御術を発動させていたとしても、魔力の残響を感じない。

―――直撃の筈。
命中の手応えはあるが、倒せた気は全くしない。
何故なら、広間を埋め尽くす魔王の殺気が、微塵も弱まっていないから。
逆に、強まっているとも感じる。

埃が晴れ、視界がクリアになる。
そこには――魔王が、いなかった。

真後ろに、薙ぎ払われるような殺気が迫る。
本能に従って身を沈めれば、直前まで首があった場所を氷の刃が通り過ぎる。
隠すことも無い、濃い気配が背後へ移動していた。
氷の刃が空間を進み、玉座にぶつかって砕け散るのを確認して、すぐに後ろへ向き直り、剣を構えた。

魔王「やってくれるな、勇者よ」

肉体に、目立つ傷は負っていない。
体を包む暗黒のローブはところどころが炭化してぼろぼろと崩れ落ちる様相だが、魔王は未だ健在だった。

勇者「無傷か。………いやになるな、全く」

ふぅ、と溜め息をついた直後。
魔王の背後、大扉が開き―――闖入してくる者達がいた。


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