過去ログ - 魔王「世界の半分はやらぬが、淫魔の国をくれてやろう」
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634: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2011/12/19(月) 01:37:22.44 ID:IpKcrNbbo
―――おかしい。
―――いつまで経っても、身を焼かれない。

眼を、ゆっくりと開ける。
赤く輝く魔力の殻が、放たれた吐息を散らしていた。
ちりちりと僅かな熱は感じるものの、殺傷性はほぼ完璧に殻に奪われていた。

僧侶「これ、は……?」

魔法使い「…ゲフッ……あんた、ね……怪我人、働かすんじゃ……ないわよ」

彼女は、いつの間にか立ち上がっていた。
前かがみの姿勢で脇腹を押さえながらという有様ではあるが、彼女は、回復していた。
口元から血を垂らしながら防御結界を維持する彼女は、怨めしげに僧侶を睨みつける。

戦士「…しかし、マズい。……俺も、立つのがやっとだ」

次いで、戦士もよろよろと立ち上がる。
壊れた盾は捨て、視界を塞ぐだけの兜も脱ぎ捨てる。
顔を横断する刀傷が特徴的な、精悍な顔が現れる。
言葉とは裏腹に……彼は、悲観的な表情をしてはいなかった。


魔王「……小癪ナ」

黒炎の吐息を吐き終え、魔王が更に近寄る。
魔力の殻は、物理攻撃に弱い。
あの豪腕で殴りつけられれば、たちまち崩れてしまう。


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