245:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga sage]
2012/01/31(火) 14:03:49.17 ID:WbNtukUV0
沈黙、電話をかけた私は何も言うことがなくて。
あかりも何も言わないで黙りこんでいた。
電話をしたこと、それだけでもなんだか頭が重たくなるような行為なのに、今はそんなことは無かった。
ただ、真っ白に何も考えていない私が、あかりに電話をしただけだ。
部屋に響く時計の音と、隣の部屋から聞こえるテレビの音。
それ以外に音は何もなくて、少しして携帯の通話時間を見たら5分経っていた。
あかり『……切るよ?』
ようやく聞こえてきた声はそれだった。
あかりの声は、公園で会った時より弱弱しくて、それがなんだか胸を痛くする。
何か言わなくちゃいけない気はした。
それでも、何を言えばいいのかなんて考えられなくて、声という手を伸ばしてもやっぱり届かない気がした。
あかり『……京子ちゃん』
京子「……なに?」
やっと出た言葉がこれで、体全体が縛られるような気がした。
もっと何か言うことあるはずって気がしたけど、何も考えられない。
怠惰でなんの意味もない会話を、途切れさせないようにしてるみたいで、女々しく感じる。
あかり『今日ね……』
あかりがしゃべり始めるのを、私は待っていたのかもしれない。
だから、もう何も言わないでそのお話に耳を傾けることにした。
私からしゃべることなんて、今は何もないから。
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