693:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/12(木) 21:46:30.27 ID:X+RsRxlyo
「妹友ちゃんは自分からあいつを奪って行ったあんたに仕返しがしたかったんだろうね」
あたしは話を進めた。
「先輩を奪った妹ちゃんの大切な人を奪ってあんたを苦しめたかった。だから」
「お兄さんはあの子に騙されてるの。それだけでもひどいけど、次はあんたの大事なお兄さんを手ひどく振って苦しませることとか考えてるんじゃないかな」
妹ちゃんは身じろぎもせずあたしの話に聞き入っていた。
「そしてそれがお兄さんを大好きな妹ちゃんを一番苦しめることになるってあの子は知ってる」
あたしは続けた。
「・・・・・・これ以上あんたもあたしももう妹友ちゃんに遠慮しなくていいと思う」
もちろんこれは妹友ちゃんにとってアンフェアなやり方だった。あたしは真実を小出しにして妹ちゃんに伝ええようとしていた。
妹友ちゃんの行動の本当の理由は妹ちゃんへの復讐ではない。
妹友ちゃんがお兄さんと付き合い出したのはお兄さんと妹ちゃんの仲が親密になるのを防ぐためで、妹ちゃんを苦しませることが真の目的ではないことはあたしにはわかっていた。
でもだからどうなのだ。妹友ちゃんの行動が自分本位の恋心から始っていることは確かだし、それが妹ちゃんへの恋から始めたことにしても結果的に今これほどまでに妹ちゃんを苦しめているのは
間違いないのだから。
まだあたしは躊躇していた。妹友ちゃんの行動の真の動機、つまり妹友ちゃんが同性の友人である妹ちゃんを愛しており妹ちゃんを独占したいからだとはあたしには言えなかった。
ここに至ってもまだ妹友ちゃんが同性愛的な嗜好を持っていることを暴露してもいいのかという躊躇もあったし、あたしの話によって弱っている妹ちゃんを更に混乱させたくなかった。
妹友ちゃんがお兄さんを愛していないことだけは事実だったので、あたしは便宜的に妹ちゃんへの復讐という安易な動機を妹ちゃんに伝えることにした。
それからあたしは妹ちゃんを説得することに専念した。妹友ちゃんがある意味自己の欲望に忠実であるなら、妹ちゃんもあたしももう遠慮すべきではないことを必死に説いた。
妹ちゃんはもう自分の心に素直になりお兄さんに対して距離を置くのを止めるべきだ。それが妹友ちゃんに騙されているお兄さんを救う道でもある。
一方あたしもあいつに対して行動を起こそうと思う。これまで臆病だったけど本当にあいつのことを好きな気持ちをもうこれ以上隠せないから。
お兄さんに対する妹友ちゃんの情け容赦ない行動にショックを受けていた妹ちゃんは、ついにあたしの提案に同意した。
それは単純な計画だった。
年内に妹ちゃんが先輩を振って別れる。あいつの妹ちゃんへの執着はあたしもわかっていたしそう簡単にあいつが妹ちゃんを諦めるとは思えなかったけど、これだけはやり遂げなくてはいけない
ことだった。あたしにとっても妹ちゃんにとっても。
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