過去ログ - 妹の手を握るまで
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816:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/18(水) 22:05:50.44 ID:/yleCiHto
「お兄ちゃん?」
少し不安になったあたしは反射的にVネックのセーターの胸元を手で押さえた。あたしの顔は赤くなっていたかもしれない。とりあえず動悸は経験したことがないほど早くなっていた。
あたしはそれでも気を取り直した。そろそろ行かないと遅くなってしまう。


「・・・・・・じゃ、行ってくるね」
その時、お兄ちゃんがぽつんと口にした言葉をあたしは多分一生忘れないだろう。

「おまえさ・・・・・・男と夜遊びはいいけど、ほどほどに付き合えよ」

あたしのことを心配しているの?
瞬時にあたしの心に何か暖かく優しい気持ちが溢れたけど、お兄ちゃんの言葉を素直に喜ぶにはこれまでの無関心な兄妹の期間が長すぎた。

「・・・・・・何で?」
あたしはどきどきしながら聞き返した。

「今まであたしにそんなこと言ったことなかったじゃん」

「今のなし! いいから早く行けよ」
お兄ちゃんも心なしか顔を赤くし慌てたように言った。



その時の話はそれで終わった。そしてその夜は最悪だった。先輩の話を聞き流してさっきのお兄ちゃんの視線と言葉の意味をかみ締め続けていたあたしに、先輩は何か不穏なものを感じたのだろう。
いつにもまして先輩の態度が酷かったため、引き止める先輩の手を振り払いあたしは家に帰ることにした。


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