818:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/18(水) 22:09:15.85 ID:/yleCiHto
「じゃあ、あたしもう行くから」
あたしは外見は平静に、でも心中は声をあげて泣きたくなるような気持ちで言った。
「おい」
あたしの気のせいかお兄ちゃんは少し慌てたように声を出した。
「妹ちゃん、知り合いなの?」
それまであたしをからかう子たちの中に入らず、静かに様子を見守っていた妹友ちゃんがあたしに話しかけてきた。
「・・・・・・うん。お兄ちゃ、兄貴。お母さんに言われて迎えに来たんだって」
あたしは答えた。
「じゃあ、お兄さんに悪いし今日は帰ったら?」
・・・・・・あたしはまるで救世主のような妹友ちゃんの言葉にうなずきたかったけど、半ばパニックになっていたあたしは自分で始めたわけのわからない演技を続けてしまった。
「ううん。気にしなくていいの妹友ちゃん。それに、今日のカラオケって彼氏先輩も待ってるし」
あたしは心にもないことを言った。
「先輩にはあたしから説明しておくから。せっかくお迎えに来てくれたんでしょ? お兄さんに悪いよ。一緒に車で帰れば?」
「・・・・・・じゃあ、あたし少し寄って行くところがあるから」
あたしはお兄ちゃんに言った。本当はこんなことが話したいんじゃなかったのに。
お兄ちゃん、迎えに来てくれてありがとう。
帰りに夕食を買いたいんでコンビニに寄ってくれる? それともファミレスとかにする?
一緒に帰れば口に出していたかもしれない言葉がほんの一瞬だけ心をかすって行った。
「え? 一緒に帰らねえの」
お兄ちゃんは困惑したように言った。
「お母さんにはご飯までには帰るって言っておいて」
あたしはそれに追い討ちをかけてしまったのだ。
「え・・・・・・え?」
「じゃ、行こ。遅くなっちゃうし」
あたしは妹友ちゃんに言うとそのまま後ろを見ずに妹ちゃんの傘の下から駆け出した。
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