853:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/20(金) 22:28:22.89 ID:Ohn7E77eo
「本当にいいの?」
妹友ちゃんはどういうわけか、家に上がる前に再び繰り返した。
妹友ちゃんらしくなく緊張している様子に嘘はないようだ。あたしは胸が痛くなった。
お兄ちゃんに会うのに緊張している妹友ちゃん・・・・・・妹友ちゃんは本当にお兄ちゃんが好きなのかもしれない。
でもそれが本当の恋愛感情で、お兄ちゃんもその感情を受け入れるのならあたしはそれを応援しなければいけない。お兄ちゃんにあたしへの恋愛感情がない以上、お兄ちゃんのことを本当に愛する子がいてお兄ちゃんもそれを受け入れたのなら。
「うん。平気だよ。お見舞いに行くってメールしたんでしょ」
あたしは妹友ちゃんに言った。
「でも。来てもいいとかって言われてないし」
さっきまでの図々しい様子は全くなく、今では妹友ちゃんは本気でおどおどしているようだった。
「大丈夫だよ。さ、あがって。お兄ちゃんの部屋2階だから」
「妹ちゃん」
妹友ちゃんが慌てたように言った。
「何?」
「お兄さんに会う前に妹ちゃんの部屋に行ってもいい?」
「いいけど・・・・・・どうしたの」
「心の準備をしたいっていうか」
あたしはその時初めてお兄ちゃんのことを気にしている妹友ちゃんに心から微笑みかけることができた。
あたしの友だちにはお兄ちゃんはあまり評判が良くなかった。偶然お兄ちゃんを見かけた子たちは、妹ちゃんが夢中になるほどイケメンじゃないじゃん、むしろオタっぽいよとかって言われたりもした。そのお兄ちゃんに会うのに妹友ちゃんが緊張している。妹友ちゃんにお兄ちゃんを盗られるという気持ちとは矛盾しているけど、あたしには妹友ちゃんの心の動きが嬉しかった。
「何言ってるの。たかがお兄ちゃんに会うくらいで」
あたしは妹友ちゃんを優しくからかった。
1002Res/743.85 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。