900:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/22(日) 22:37:33.13 ID:1Eq+XbUTo
「・・・・・・どうした?」
お兄ちゃんの心配そうな声が聞こえた。
「怒鳴られて電話切られちゃった」
あたしは答えた。
「何か・・・・・・悪かった」
お兄ちゃんがすまなそうな声で謝った。
・・・・・・いけない。あたしを心配してくれたお兄ちゃんに謝らせちゃだめ。
「・・・・・・ううん。お兄ちゃんは別に悪くないよ」
あたしは本心から言った。
そして今の一幕で動揺していたあたしだけど、同時に恋愛感情ではなくてもお兄ちゃんの好意があたしに向けられていることを初めて知ったあたしはある種の高揚感を抱いていた。
その高揚した気分のせいだろう。いつもなら遠慮してとても言えないことをあたしは口にすることができたのだ。
「・・・・・・少しだけお兄ちゃんの部屋にいてもいい?」
「あ? な、何で」
お兄ちゃんは困惑している様子だった。
「今日出かけないからやることなくなっちゃったし」
いつものあたしならお兄ちゃんを困らせるくらいなら自分からさっさと自分の部屋に戻ったろう。
でも少し好かれている自信をもったあたしには、お兄ちゃんを試す余裕が生まれていた。
「・・・・・・何だよそれ?」
「別に何でもないけど」
あたしはお兄ちゃんのベッドに座った。
「・・・・・・当たり前のように俺のベッドに座るなよ」
それでもお兄ちゃんは本気で迷惑がっている様子はなかった。あたしの思いは確信に変った。お兄ちゃんはあたしと一緒にいることが嫌じゃないんだ。
「テレビ見ていい?」
あたしは返事をまたずにリモコンに手を伸ばした。あたしは、前よりずいぶんお兄ちゃんの前でも自然に振る舞えるようになっていた。そして前よりずいぶん心が軽くなったように感じた。
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