過去ログ - 妹の手を握るまで
1- 20
958:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/26(木) 22:16:28.73 ID:1OhvfVmto
相変わらず景色は街中のそれで一向に海辺らしくならなかった。昨日ほとんど寝ていなかったあたしは眠気を払うのに苦労した。

途中お兄ちゃんの携帯の着信音が鳴り、それが誰からのメールかわかっていたあたしは一瞬眠気が覚めた。
それでもあたしの軽い気持ちは曇らなかった。正直に言えば妹友ちゃんでさえ今のあたしには脅威に思えなくなっていたのだ。

妹友ちゃんがお兄ちゃんを学園祭に誘いたいなら誘ってもいい。昨日の夜を踏まえると仮に妹友ちゃんがお兄ちゃんに告白したとしてもお兄ちゃんは妹友ちゃんには靡かないだろう。
今のあたしにはそれくらいお兄ちゃんの気持ちを自分にひきつけているという自信があったのだ。


お兄ちゃんと何気ない会話を交わしながらもあたしはだんだん眠くなってきた。車内の暖房や適度な車の振動が心地よくあたしを眠りに誘った。

「車の中暖かいから眠くなっちゃうね」
あたしはあくびをかみ殺しながら言った。

「時間かかるから寝てていいよ」

「お兄ちゃんに悪いし」
二日酔のお兄ちゃんに運転させているのだ。助手席で眠るわけにはいかない。

「いいよ。少し休んどけ」
それでもお兄ちゃんはあくまであたしに優しかった。これまでの無関心な関係がまるで嘘のように。

「うん。じゃあ」
あたしはお兄ちゃんの言葉に甘えた。それで体をできるだけ運転席の方にずらして、お兄ちゃんの肩に頭を乗せるようにしてお兄ちゃんにもたれかかった。

「・・・・・・おい」
少しだけ慌てているお兄ちゃんの声。

「なあに?」
あたしは半ば目つぶりながら言った。

「い、いや。何でもない」

うとうとしながら、あたしは肩にお兄ちゃんの手が回されるのを感じた。お兄ちゃんの手はあたしの肩でおとなしくじっとしていることもなく、服の上からあたしの腕を撫でたり掴んだりしながら遠慮がちにあたしの腕を上下にさするように往復していた。あたしは昨日のように驚かなかった。むしろ好きな人に自分の体を好きなようにさせながらも安らかに目をつぶって半分眠りについていたのだ。

お兄ちゃんの控えめな愛撫はすぐに終わったけど、この時お兄ちゃんがもっとあたしを求めたとしてもあたしはそれを受け入れていただろう。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/743.85 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice