過去ログ - 土御門「忘れたかにゃー、インデックス。オレって実は天邪鬼なんだぜい」
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131: ◆sk/InHcLP.[saga sage]
2012/01/26(木) 23:38:10.30 ID:xQwpJrUv0

散開する水を頭にかぶる格好となり、髪の毛が大人しくなった土御門元春だったが、言葉にはやはりトゲがあった。
こうなるとステイル=マグヌスとしても黙ってはいられない。だから、その魔術師は確実な死を保証するために、また新たな詠唱を始める。


 AshToAsh
「灰は灰に――――」


まるでピザの生地を伸ばすように、ステイルは右手で握っている炎の一部を左手で掴んで引っ張る。オレンジの炎剣から別れた火の玉が左の掌の上に現れる。
ただし、その色は青。全てを燃やし尽くすようなオレンジ色の業火ではなく、純粋に目の前の敵を殺すために存在しているような青色の烈火であった。
そして、炎の魔術師は再びを地を蹴る。左腕を振るうために大きく後ろに伸ばしながら、攻撃するための準備として一旦右腕を胸の前に持ってきながら。
一方の少年は一歩大きくバックステップを踏むと、どこからともなく何か正方形の平面上のモノを取り出し、それを手裏剣のように天井に向かって斜めに投げた。


       DustToDust
「――――塵は塵に――――」


それでも、呪を紡ぐことを忘れるステイル=マグヌスではない。左手に音も無く青白い炎剣を作りながら走り続け、いつでも攻撃できるような体勢を作る。
しかし当然、土御門が何らかのアクションを起こしたと考えた魔術師は、動きは止めなくとも目線でその物体を追ってしまう。つまり、天井を見上げる形になった。
彼の視線の先にあったのは、ただの黒い折り紙。あっという間に散布されている水によって濡れてしまったので、もう原形も分からないくらいにクシャクシャだった。
その折り紙だったモノが、次の瞬間には粉々になって本当に原形が無くなってしまうことなど、この時点ではステイルは予測がつかなかった。


             Squeamish
「――――――――吸血殺しの――――っ!?」


これ以上、ステイルは詠唱を続けることが出来なかった。正確には、詠唱を続けるために必要な口が塞がれていた。さらに具体的に言えば、彼は水責めされていた。
要するに、今までスプリンクラーから散布されていた水が、何らかの力によってヘッドから放出するともに収束し、直線的な水の流れとなってステイルの口を襲ったのだ。
その様子は、ホースの口を手でつまみながら放水している状況を想像すれば分かりやすい。水量は変わらなくとも水の勢いが変化し、強烈な水流となるあのイメージだ。
しかもこの場合、水量はスプリンクラーヘッドから放出される量である。それが口にというか、喉の中に直接襲って来るとなっては、パニックを起こすのが正常な反応だ。


「むぐっ! むーむぐごぐぎごぐげげぐうぎ!!?」


魔術は、使用者の生命力を『魔力』に精製することから始まる。魔術師は使用する魔術に合った適切な質と量の魔力を、具体的には呼吸法などを使って精製するのだ。
そこから魔術師たちは一定のコマンド、要するに伝説や神話をモチーフにした呪文や詠唱を用いることで、ようやく彼らは魔術と呼べるモノを使えるようになる。
では、こうして発動した魔術を、異能などの力で敵と真正面から戦う以外の方法で止めるにはどうすれば良いのか。答えは単純かつ明快だ。



その魔術師が、魔術を使うために行わなければならないプロセスを分断してしまえば良いだけの話だ。




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