過去ログ - 土御門「忘れたかにゃー、インデックス。オレって実は天邪鬼なんだぜい」
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9: ◆sk/InHcLP.[saga sage]
2011/12/08(木) 00:15:32.42 ID:LKoMR9wE0

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「……ん? あの金髪は確か…?」


一度双眼鏡から目を離し、今度は直視で例のベランダを眺めてみる。
少年、と言ってしまうのに抵抗がある風貌をした少年は、土御門がいる所とは違うマンションの屋上にいた。
まず、その少年は身長が2mある。次に、髪の毛を赤く染めている。そして、明らかに未成年なのに煙草を吸っている。
しかも格好は漆黒の修道服で指の全てに銀色の指輪を装着しているので、学生の街たる学園都市では目立つことこの上ない。
そんな不良にしか見えない少年がこの街にいる理由は、やはり『とある少女』の存在にある。

件の神裂火織と同じく、この少年もまた『禁書目録』を追って学園都市に入ってきた魔術師の一人なのだ。
正確には『神裂火織と同じ任務にあたる同僚』であるので、彼女と共にこの街に侵入してきた。
その際、魔術師なんて怪しい素性の者が科学の街に迎えられるはずもなく、『中』にいる協力者に頼んで街に入れてもらったのだが、


「間違いないね。アイツは土御門だ」


ついさっき、その協力者と見られる少年の部屋にターゲットの少女が引き入れられたのをこの目で見た。
……ということは、追っていた少女は見事なファインプレーで、奇跡的にも自分たちの協力者の元に捕らえられたことになる。
つまり、その事実が意味しているのは、


「……もう仕事は終わったんじゃないのか、これ」


日本には『骨折り損のくたびれ儲け』という言葉があるらしい。
日本人ではない彼にはその意味が正しく理解できているとは思えなかったが、今のこの状況を表現するのにピッタリな気がしてならない。
この場にいないパートナーにそう伝えたい気分だ。すると、彼の気持ちを悟ったのか、携帯電話の着信音が少年の耳に届いた。


「もしもし?」

『ステイルですか? こちら神裂です』


やはり電話先の人物は神裂火織だった。心なしか声が暗いが、それよりも早く先程のことを伝えなければ。


「ああ神裂か。そうだ聞いてくれ。実は今『彼女』が――――」

『………ステイル。科学の街をいうのは恐ろしいものですね』

「うん?」


何だそりゃ、と思わず声を上げてしまうところだった。言われなくたって自分もこの街は怖い。
世界中の科学の総本山であるこの街にいるというのは、魔術師にとっては敵の本拠地の真っ只中にいることに等しい。
当然、ステイルと呼ばれた少年も神裂もそれを承知の上で侵入したのだから、何を今さらと思うのがステイルにとっては普通だった。



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