410: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/12/30(金) 18:19:36.99 ID:1r0Rv1RGo
星の見えない夜。
すっかり暗くなった道を、ほむらは歩いていた。
夜遅くに出歩いているのは、学習塾に通っているためである。
長い入院生活で学習の進みが遅れていたため、周りに追いつくためにも彼女は
塾に通って勉強をしていたのだ。
(なんだか怖いな)
その日のほむらは、塾を出たあたりからなんとなく嫌な予感を感じていた。
といっても、家に帰らないわけにはいかないので、勇気を出して歩き出す。
繁華街の少し明るい道を抜けると暗がりになる。
落ち着こう、と自分に言い聞かせるものの、自然と早足で歩いてしまう。
外灯の光に照らされた薄暗い道を歩いていると、急に目の前が真暗になってしまう。
「きゃっ」
いきなりのことで思わず声を出してしまうほむら。
そして次の瞬間、そこは先ほどまで自分が歩いていた道ではなくなっていた。
「この場所、見たことがある……」
転校初日、わけのわからない動物や虫が自分に襲いかかろうとした場所。
どちらが右でどちらが左なのか、立っているのか寝ているのか。
あらゆる方向感覚が狂ってしまうような場所に、彼女は再び足を踏み入れていた。
「こんな場所にいたら」
ほむらは震える両脚に活を入れるように歩き出す。
本当は走って逃げたかったのだが、恐怖と足場の悪さと体力の無さを考慮して歩き出したのだ。
まだ、周囲の奇妙などもはこちらの様子を伺っている。
(とにかく、早く逃げないと)
そう思い、再び周囲を見回し、どこかに逃げられる場所がないか探すほむら。
その時、彼女の目に一筋の光が見えた。
(もしかして、あそこ)
出口かもしれない。そう思った彼女はその光に向かって歩き出す。
しかし、
一瞬で光は消える。
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