439: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/12/31(土) 16:40:35.14 ID:f3g4B3n7o
播磨と和子の向かった先は、見滝原の中心街にあるオフィスビルの一つ。
ここに目的の人物がいる。
「美樹さん、お客さんですよ」
ワイシャツ姿の男性が名前を呼ぶ。
「ああ、失礼します」
すると、スーツ姿の女性が現れる。少しくたびれた感じのその服装は、
彼女の疲労感を表しているようにも思えた。
「美樹さやかの母です」
娘と違い、やや長めの髪の母親はそう言って名前を告げる。
目元などはさやかにそっくりだが、身にまとう雰囲気は何か違うな、
と播磨は感じた。
「お久しぶりです。担任の早乙女です」
和子はよそ行きの声であいさつをする。
「そちらの方は」
さやかの母は冷たい目をこちらに向ける。
「こちらは副担任の田中先生です」
と、とっさに嘘をつく。
「田中先生は女の先生と伺っておりましたが」
「え?」
「名字は同じなんですよ。自分は田中ケンジといいます」
慌てる和子に対し、播磨が助け船を出す。
「そ、そうなんです。あっちの田中先生はいろいろ用がありまして」
(お前ェは余計なことを言うな……!)
播磨はボロが出ないかヒヤヒヤしながら和子の隣に座った。
播磨は和子と同じ中学校の教師になりすまして、美樹さやかの母親の様子を見に来たのだ。
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