661: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2012/01/19(木) 20:25:41.17 ID:gZmXTKMLo
東京に行くのは嫌いだった。
入院生活、なじめない学校。そして両親。
あまりいい思い出はない。
でも、最近はやっと慣れてきた見滝原の街でも嫌な事件が続いたため、
正直今はほっとしている。
窓の外に流れる灰色の街並みを眺めながら、ほむらはそんなことを思っていた。
月に一度、ほむらは実の父親と会うことになっていた。
ここ数か月は、体調不良を理由に会っていなかったけれど、この日は会いに行くことにした。
それほど、街を離れたかったのだ。
「最近どうだ? 叔母さんは元気か」
「うん。元気」
「一人でここまで来たのか? すごいな」
「そうね……」
「ああ、すごいぞ。数か月前まで入院してたのが嘘みたいだ」
「……」
ホテルのレストランで食事をしながら、父は他愛もない話をする。
静かな食卓。
そこに笑顔もなければ、楽しげな会話もない。
ほむらは、淡々と父の質問に答えるだけだ。
なぜこの人が自分の父親なのだろう。
彼女はふと考える。
でも、答えは出てこない。
もしも、この場にいるのが父親ではなく播磨拳児であったら。
そう考えると少しだけ胸が熱くなった。
702Res/519.76 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。