80: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/12/14(水) 20:13:13.87 ID:caHHzrrpo
夕食は和やかな雰囲気で進んだ。
詢子はビールを飲みながら楽しそうに話をし、まどかは播磨やタツヤに対して色々と世話を
焼いていた。
エイミーは部屋の隅で、自分の餌を食べている。
久しぶりに感じるゆっくりとした時間。
播磨がこの街に来て以来、殺伐とした事件を耳にすることが多かった分、こういう家庭的な
雰囲気は心地よさを通り越してこそばゆくもあった。
そして食事も終わり、播磨は詢子と二人で話をすることになる。
まどかと一緒にいる時間が楽しくて、忘れかけていたけれど、この日の鹿目家訪問はこれが
目的だったのだ。
照明を落とした薄暗い部屋。隣からはまどかやタツヤの笑い声が聞こえる。
詢子は水割りの入ったグラスを揺らした。
グラスの中の大きめの氷が縁に当たって高い音を出す。
「私は、この音が好きなんだよね」
窓から差し込む月の光が詢子の肌を照らす。
その肌は、子供を産んだとは思えないほどきめ細かく張りのあるものであった。
「あの、詢子サン……」
播磨が話を切り出す。
「なんだい?」
酒のせいで頬は紅潮しているけれど、その瞳はしっかりと彼の顔を見据えていた。
「頼みがあるんですが」
「聞こうか」
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