16:JK[saga]
2011/12/15(木) 19:27:11.64 ID:fJUeZbYv0
自分の答えに満足して、昴は頷く。
そうだ。昴は浄化を望んでいる。
死によって、全ての罪悪を消失させてしまいたいのだ。
されど、月夜叉は昴の予想もしていなかった言葉を返した。
『それならば、何故生きているのだろうか』
「……え?」
『死ぬために存在しているのならば、今死ねばよいのではないか』
「死のうとした。何度もリストカットしてね」
『何だ、それは』
「手首を切る事よ。
手首を切る人の事をリストカッターと呼ぶんだ」
『手首切り……か。
左様ならば昴も手首切りなのだな』
月夜叉に言い換えられてしまうと、
昴は何故か途轍もなく厭な気分に陥った。
手首切りなど間抜けな言葉に言い換えられると、
己の行為がひどく矮小で卑小な出来事に思わされてしまう。
いいや、違う、と昴は月夜叉の言葉を己の中で否定する。
違うのだ。
己の行為は遥かに偉大なる事象なのだ。
「その呼称はやめてもらいたい。
私のしている事は、もっと違う事なんだから」
されども、月夜叉は言う。
まるでまさしく、彼女こそ夜叉だと思わされる言葉を思念として届ける。
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