過去ログ - 月火「火憐ちゃんも、お兄ちゃんのことどうこう言えないよね」
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2: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/12/18(日) 22:44:41.41 ID:myjtRBn70
『かれんハート』



 001.
以下略



3: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/12/18(日) 22:50:01.56 ID:myjtRBn70
 ちなみに、あいつとのエピソードでそもそも僕が楽しかったなあとか良かったなあとか、素直にそうとだけ思えるようなエピソードなんてほとんどない。
全く無いと言い切ってしまうのはさすがに憚られるけれど、それでも容易にそんな出来事を思い返すことができない時点で、まあ推して知るべしといったところだろう。
どんな出来事も、思い返せば渋いものがどうしたって混じってしまうのが実情なのだ。
正義を標榜して止まず、他人の為と宣言して止まず、今までも今もこれからも、あいつは無茶をして止まない。
そんなあいつの行動の結果、そんなあいつの為に、どれだけ僕が方々を駆けずり回ってきたことか。
以下略



4: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/12/18(日) 22:52:57.34 ID:myjtRBn70
 これから思い返す物語もまた、そんなエピソードの一つに過ぎない。
楽しいだけの話なんかでは断じてなく、どころかいっそ苦しくて悔しくて悲しくて空しくなるような、そんな出来事だ。
一つ語る前に断っておくと、この物語には決して終わりはない。
どころか始まりすらきっとない。あるとすればそれは、僕の誕生とか火憐の誕生とか、あるいはあの子――松木茜の誕生とかに遡ってしまう。

以下略



5: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/12/18(日) 22:57:32.13 ID:myjtRBn70
 もっともこれは、あくまでも阿良々木火憐の物語であり、故にこそ阿良々木暦の物語なんかではない。
であれば、只の傍観者でしかないような、どころかむしろ間抜けな闖入者だったのではないかと思ってしまうような、そんな立ち位置だった僕が語っていいことかどうかは分からないけれど。
それでも今、敢えて今、僕が語ることに意味はあると思っている。
少なくとも、僕にとっては間違いなく。

以下略



6: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/12/18(日) 23:00:18.59 ID:myjtRBn70
 002.

 後日談というか、今回のオチというか、そこに至るまでのあれこれ。
翌日、いつものように火憐と月火に起こされる――という語り口は、誠に遺憾ながら使えなくなって久しいのが現状だったりする。
何のことはない、目覚めのタイミングがばらばらになってしまったというだけのことなんだけど。
以下略



7: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/12/18(日) 23:02:25.54 ID:myjtRBn70
 体は起こさず、視線だけを胸元にやってみる。
予想通りと言うべきか、あるいは予定通りと言うべきなのか、小さい方の妹である月火が、僕の胸にその頭を押しつけるようにして眠りこけていた。
そこだけ切り取って見ればどうだろう、可愛い妹にべったり懐かれているという微笑ましい光景になるのかもしれないけれど、しかしそれは残念ながら事実とは異なる。
何しろ目を覚ます原因となった苦痛は、まさにその月火の頭によってもたらされているのだから。
どんな夢を見ているのか、時々ぐりぐりごりごりその額を擦りつけてきていて、正直ちょっと痛いのだ。
以下略



8: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/12/18(日) 23:06:30.99 ID:myjtRBn70
 閑話休題。
とにもかくにも残念極まりないことに、僕がこいつらと一緒に寝るようになって久しい。
その期間は丁度、冒頭で述べたような語り口が使えなくなってからのそれとほぼ一致している。
つまり端的に言うと、僕と一緒に寝るようになってから、こいつらの寝起きははっきりと悪化しているということだ。
もしくは、僕の睡眠環境が悪化しているという風に見ることもできるだろうか。
以下略



9: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/12/18(日) 23:09:34.74 ID:myjtRBn70
 いやでも冷静に考えれば、人間の平熱と言えば36度くらいなわけで、そんな熱源とぴったりくっついて布団にこもっていれば、それは冬だって結構厳しいのではないかと思うのだ。
かてて加えて現在のこの気温の高さである。
普通の人間ならば、やはり暑さに耐えかねるのが自然なあり方だろう。

 うーん、だとすると例えば戦場ヶ原と同衾するような事があっても、こんな風に暑苦しさと不快感に見舞われることになるのか?
以下略



10: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/12/18(日) 23:14:02.25 ID:myjtRBn70
 何がスイッチになったのかは分からないけれど、もそもそと動く気配がすると同時に、火憐の声が聞こえてきた。
どこか間延びした響きがあるのは、寝惚け半分だからだろうか。
それはさておき、僕の思考を読み取って起きるんじゃない。野生動物か、お前は。

「野生の感覚っつーか、あれだ、女の直感って奴だぜ」
以下略



11: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/12/18(日) 23:18:21.65 ID:myjtRBn70
 言うが早いか、その場で足を上げ、くるっと後方に回転して立ち上がる火憐。
いやしかし、とても寝起きとは思えない鋭敏な動作だ、いつものことながら。
何ていうか本当に野性味を感じさせるよなあ、こいつ、寝起きでもすぐに体を動かせるって。
頭の方が活動できていない辺りは残念極まりないけど。

以下略



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