14:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga]
2011/12/23(金) 02:28:07.34 ID:c4Axoe8J0
「なんであたしが出ばらなきゃなんないのさ」
鯛焼きをかじりながら、マミの顔も見ずに佐倉杏子は言った。
「あの街はあんたの縄張りじゃなかったのかい?巴マミ」
「杏子……私はそんな話をしにきたんじゃないわ」
「じゃ、何だってのさ」
杏子は鯛焼きを食べ終えると、包み紙を丸めてマミに投げつけた。
「!」
「あんたはあんた、あたしはあたし。ついこの間、『話しあい』で決めたばかりじゃないか。忘れたのかい?」
「……」
「全く。ほんとに相変わらずだねえ、あんたと来たら」
そう言いながら杏子は立ち上がった。
「とにかく、あたしの方には話すことなんか何にもないんだからね。用が済んだらとっとと帰りなよ」
「杏子……!」
マミは唇を噛みしめて押し黙った。
マミが訪ねて行ったのは、見滝原の郊外にある打ち捨てられた教会だった。
石造りの聖堂の中の空気は冷たく、降り続く雨の音も聞こえてはこなかった。
杏子が歩み去っていく足音が、重苦しい静寂の中で響きわたる。マミは俯いたまま、握りしめた拳を震わせていた。
「待つんだ、佐倉杏子」
116Res/135.62 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。