77:>>1 ◆weh0ormOQI[saga]
2011/12/27(火) 22:56:27.70 ID:l5SKq28Z0
意を決して箱を開いた。
「っ」
息が止まった。
心臓まで止まるかと思った。
実際、一瞬止まっていたのかもしれない。
それほどの驚きを、ちっぽけな小箱の『中身』はもたらしてくれた。
「…………こ……れ……?」
言葉が出ない。
というよりも、息がつけない。
今度は肺の機能が停止したのだろうか。
それは、女の眼に映る、その物体は。
「給料三カ月分が相場だと、上条夫婦に相談したらそう言われたんだが」
――――指輪だった。
「結局奮発しすぎて、一年分はつぎ込んだかな」
彼の瞳と同じ色の宝石が嵌まった、銀のリングだった。
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