過去ログ - 魔王「異世界でネトゲしてくる」
1- 20
26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/01/09(月) 16:40:07.17 ID:Szi3hrtDO
「む、筆記具がない……」

インクを精製し、宙に浮かばせる。
これで自動書記する腹積もりだ。
しかし、

「えっ!?」
「あ、あれ浮いてない? 手品……?」

周囲が途端にざわめき立つ。
当然の帰結であった。
オフィス街とはいえ、日中の道端でやれば、嫌でも人目につく。
瞠目する歩行者、車から顔を出す人、様々な人の視線を集める。

「な、なんじゃ?」

四方八方から痛烈な視線が浴びせられ、たまらず路地へと駆け込む魔王。
空飛ぶインクも後を追う。

「……まったく面倒な」

嘆息に合わせてひとりごちる。
奥行きのある路地だった。
広くもなく、狭くもなく。
横に三人は並んで歩ける広さ。
密集する建造物の屋根に日光を遮られ、一見して日陰しか見当たらない。
あたりに人気はないようだ。

「人間らしき者達からも魔力を感じぬし……魔法はない? 魔法に似たようなものがあれば驚かぬであろうし……随分と勝手が違う」

わかっていたことであるが、と心中で付け足す。
魔王から見ればこの街自体魔法のようなもので、驚かされてばかりだ。
しかし、魔王の世界だと人間でも当たり前に思う光景すら、ここでは珍事らしい。
こちら特有の驚愕すべき利器もあって、益々基準が分かりづらい。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
35Res/28.69 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice