5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]
2012/01/09(月) 16:31:41.70 ID:EAYQUC/J0
部室へ行く途中、階段を上っていると、後ろから同じように階段を上る音が聞こえた。
梓(ここの階段、音楽室に行く以外あまり使われてないのに…)
トン…トン…トン…
ストーカー疑惑の話もあって、怖くて前に進めなかった。
足が震えて、上がろうと思っても上がれないのだ。
梓(やだ…どんどん近付いてくる…怖いよぉ…)ブルブル
チョンチョン
梓「きゃあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」グラッ
突然肩を叩かれた私は、びっくりしてバランスを崩してしまった。
膝がガクッと折れ、後ろに崩れ落ちるように倒れる。
梓(ヤバい…!!)
でも、いつまでたっても痛い衝撃は来なくて、かわりに良く知った声が耳に入った。
律「梓?大丈夫か?」
肩をたたいた主は、律先輩だった。
後から聞いた話によると、前に私がいたから、驚かせようと思ってやったらしい。
律先輩は倒れかかった私をキャッチしてくれたため、私は無傷で助かった。
律「わりーわりー、ごめんな?梓」
梓「……」ポロッ
律「…へ?」
梓「……」ポロポロ
律「どうした?ごめんな、痛かったか?」
梓「……」フルフル
律「…ちょっと落ちつこっか」ギュッ
律先輩は、泣いたままの私を静かに屋上へと連れ出した。
律先輩は何も聞いてこないし、私も何も言わない。沈黙の時が流れた。
でも、私にとってはむしろそれがありがたかった。
今はまだ喋れない。気持ちが追いつかなかった。
怖さが律先輩の優しさに触れて安心に変わり、律先輩の隣で声をあげて泣き続けていた。その間律先輩はずっと私の手を握っていてくれて、優しい顔でそばにいてくれた。
律先輩のあの顔は、一生忘れる事が出来ないだろう。
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