1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2012/01/16(月) 23:29:39.00 ID:5Cvu8oBHo
突然ですが、私には誕生日が二度あります。
とは言っても、年に二度年をとる訳ではありません。
今の年齢は律と同じ二十歳、花の新成人です。
本来の誕生日は1月の15日、生まれてこの方この日から移ったことはありません。
パパとママの言葉を信じれば、私は確かにこの日に生まれたのだから。
では、もう一つの誕生日は?
それは1月16日、本来の誕生日の翌日。
不思議に思う人もいるだろうけど、この日は私にとって、本当の誕生日と同じぐらい特別な日なのです。
なぜ「特別」になったかって?
それをこれから、書き綴りたいと思います。
拙い文章で申し訳ありませんが、どうかお付き合いください。
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2012/01/16(月) 23:30:57.59 ID:5Cvu8oBHo
小学生の頃の私は、今以上に内向的で恥ずかしがり屋だった。
そんな私の周りには友達なんて数えるほどしかいなくて、誕生日会を開いてくれる友達になるともう、誰一人としていなかった。
その年の誕生日もまた、パパとママの三人で細々と過ごした。
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2012/01/16(月) 23:31:29.76 ID:5Cvu8oBHo
「たんじょう日って、あのみんなで集まってケーキ食べたりゲームしたりする?」
他に何があると言うのか。
と言っても、私はそんな誕生日なんて経験したことないけれど。
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2012/01/16(月) 23:31:57.43 ID:5Cvu8oBHo
実はさっき、一つ嘘を書いた。
寂しくない、と言ったことだ。
当時の私は内気な子だったが、決して人嫌いではなかった。
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2012/01/16(月) 23:32:24.91 ID:5Cvu8oBHo
「みおちゃん……」
りっちゃんが顔をのぞきこんでくる。
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2012/01/16(月) 23:32:59.73 ID:5Cvu8oBHo
そして、ようやく落ち着いた頃。
「ねぇ、みおちゃん。今日いっしょにあそぼうよ」
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2012/01/16(月) 23:33:39.94 ID:5Cvu8oBHo
その後、私とりっちゃんは二人でささやかなパーティーを開いた。
りっちゃんが持ってきてくれたお菓子と、私の家にあったケーキの残りを食べた。
二人きりの小さな誕生日会だったけれど、すごく楽しかったことを今でも覚えている。
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2012/01/16(月) 23:34:07.82 ID:5Cvu8oBHo
「これって、ゆびわ?」
「そうだよー、おもちゃのだけどね」
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2012/01/16(月) 23:34:33.93 ID:5Cvu8oBHo
そういえば、この時言い忘れていたことがある。
何度も何度も言おうとして、ついつい機会を逃してしまった。
だから、かわりにこの場を借りて一言だけ綴りたいと思う。
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2012/01/16(月) 23:35:02.42 ID:5Cvu8oBHo
それから律は毎年、私の誕生日会を開いてくれた。
小学校、中学校の友達と、高校に入ってからは軽音部のみんなと。
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2012/01/16(月) 23:35:31.82 ID:5Cvu8oBHo
その日が再び「特別」になったのは、高校三年生の時のこと。
年も明けた頃、私たちはいよいよ受験直前にあって、勉強漬けの日々を送っていた。
律は毎晩のように私の家にやって来ては、日を跨ぐまで勉強をしていく。
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2012/01/16(月) 23:36:09.71 ID:5Cvu8oBHo
しかし、律の成績はあまり伸びなかった。
この時期になっても、模試の結果はC判定が精一杯だった。
律はそのこともあってか、どうにも疲れている様子だった。
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2012/01/16(月) 23:36:51.66 ID:5Cvu8oBHo
そんなある日のこと、勉強に身が入らない律との間で、とうとう事件を起こしてしまった。
「おい律」
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2012/01/16(月) 23:37:36.69 ID:5Cvu8oBHo
私は不快感を込めてテーブルを叩く。
「りつ!」
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2012/01/16(月) 23:38:04.81 ID:5Cvu8oBHo
「いや、もうちょっと頑張る」
大きなため息が出る。
本当にそう思っているのか、信用できない。
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2012/01/16(月) 23:38:56.46 ID:5Cvu8oBHo
「こんなこと言うのもなんだけどさ」
苛々の募った私の口はもう止まらない。
律の様子がおかしいという疑問より、律に厳しくしなければという思いが勝った。
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2012/01/16(月) 23:39:22.46 ID:5Cvu8oBHo
その時の律の顔は未だに忘れられない。
真っ赤になって、目元に涙をため、かすかに肩をふるわせる。
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2012/01/16(月) 23:39:55.53 ID:5Cvu8oBHo
「ご、ごめん律。言い過ぎ……」
「悪かったよ、邪魔して」
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2012/01/16(月) 23:40:59.42 ID:5Cvu8oBHo
日を跨いでしまいますが、少し中断します。
後半は一時には投下します。
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/01/16(月) 23:42:56.35 ID:qDSMGWtSO
>中学受験の時ですら、律はギリギリまで怠けていたのに。
これ、高校受験の間違いじゃね?
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)
2012/01/17(火) 02:06:39.59 ID:irwkSXCJo
>>20
ご指摘の通りです、訂正します
再開します
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