過去ログ - 律「閉ざされた世界」
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16:にゃんこ[saga]
2012/01/19(木) 19:09:18.67 ID:nNWGVWep0
「何……、これ……?」


大きな目を見開いたまま、呻くみたいに梓が呟き始める。
信じられないものを見たって感じの梓の表情。
その肩は小刻みに震えて、何かに怯えてるようだった。

何だよ?
梓は何を見たんだ?
風が吹いてる間に何があったってんだ?

言い様の無い不安感に駆られて、
私はまだ半開きの瞳で私達の周囲に視線を向ける。
だけど、これと言って気になる物は、私の目の中に飛び込んで来なかった。
いつもの私達の高校の通学路と何も変わってない。
そう見える。

じゃあ、梓は一体何を怯えて……?

もう一度、私は大きく頭を振って、周りを見回す。
見落とした物を見逃さないように。
梓の不安の正体を掴むために。
大きく目を見開いて。
不安がどんどん膨らむのを必死に抑えて、精一杯その何かを探した。

でも、やっぱり気になる物は何一つ見つからなくて……、
私達以外には動いてる物は何も無くて……、私もやっと気付いた。
ちょっと待てよ……。
何だってんだよ……。
これは……、一体……!


「――――――ッ!」


思わず叫び出しそうになるのをどうにか堪える。
叫んじゃいけない。
叫んじゃ駄目なんだ。
叫んだ所でどうにもならないし、梓や皆を余計に不安にさせるだけだ。

でも、私には叫ばない事以外には何も出来そうもない。
誰かに救いを求めて、私は視線を彷徨わせる。
誰かこの状況を説明出来る奴は居ないのか……?

勿論、私達の中にそんな事が出来る人間が居るはずもなかった。
唐突に自分達と世界を襲った異変に、誰もが呆気に取られてしまっていた。
それ以外に何が出来るってんだ。


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