363:にゃんこ[saga]
2012/04/29(日) 18:44:43.77 ID:T2Olr24x0
「唯先輩はお元気ですよ、律先輩。
憂達の事を捜しながら、私達の服や食べ物探しもきちんと手伝って下さいましたよ。
それどころか私達に「私の我儘に付き合わせちゃってごめんね」って気まで遣ってくれて……。
唯先輩、憂の事が凄く心配なはずなのに、私達の事も考えてくれてて……。
何だか……、こちらが申し訳ない気分になってしまったくらいでした」
「そっ……か……」
私は何とも言えずにそれだけ呟いた、
梓の言葉は穏やかで、優しくて、どうも嘘は吐いてないみたいに見えた。
唯が無理してないみたいで安心出来た。
だけど、それに対してどう反応すればいいのかは、自分でも分からなかった。
元気らしい唯の姿を喜ぶべきなのか、
唯に気を遣わせてしまってる事を申し訳なく思うべきなのか……。
どう反応すればいいか分からない理由はまだある。
梓の言葉と梓の態度だ。
私達は仲間を失ったけど、梓はそれ以上の関係のはずの親友を二人も失った。
きっと私達が知らない所で、梓は憂ちゃんと純ちゃんと深い深い信頼関係を築いてたはずだ。
私なんかが想像も出来ないくらいの絆を感じてたはずなんだ。
でも、梓の態度は穏やかで、落ち着いていて、それが逆に不安になった。
梓はどうしてこんなに落ち着いてるんだろう。
二人の親友を切り捨てさせた私に向けて、何でこんな穏やかな表情を向けられるんだろう……。
そう考えた私が視線を落そうとした事に気付いたんだろう。
急に梓が明るい声を出した。
「そうそう、律先輩。
さっき妙な事言ってませんでしたか?」
「妙な事って何だよ……」
そういや、それも気になってた事だ。
さっき私は妙な事を言ったつもりはないのに、何故か梓は嬉しそうに微笑んでいた。
その理由が分からない。
普段ふざけてる時ならともかく、今回ばかりは笑える所は無かったはずなんだが……。
私が首を傾げていると、梓が少し肩をすくめながら、頬を少し赤く染めて続けた。
肩をすくめて頬を染めるなんて、
何だか矛盾した行動のように見えるけど、多分、その二つが両立出来る理由があるんだろう。
「気付いてなかったんですか?
律先輩、さっき唯先輩の事、
「皆のために一生懸命になり過ぎるのはあいつのいい所だけど」って言ってましたよね?」
「……言ったな。ああ、確かに言った気がする。
それがどうしたんだよ?」
「それ、唯先輩だけじゃなくて、律先輩もですよ?
ご自分じゃ気付いてないかもしれませんけど」
「えっ……」
思わず言葉に詰まった。
私が皆のために一生懸命になり過ぎてる?
そりゃ何度か言われた事はあるけど、自分でそう思った事は一度も無い。
私はただ、皆で笑って遊びたいだけで……。
私は自分の顔が熱くなるのを感じる。
自分の言った言葉がそのまま自分に返って来るなんて、そんなに恥ずかしい事無いじゃんか……。
梓はその私の表情に気付いてないのか、いや、多分気付いててそのまま言葉を続ける。
657Res/1034.29 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。