402:にゃんこ[saga]
2012/05/08(火) 17:47:40.46 ID:KV32gPEW0
でも……。
今度こそ、と私は思う。
私は梓の優しい顔を見て、どうにか思い留まれた。
梓の未来を私の甘えなんかで、絶望と後悔に塗り潰しちゃうわけにはいかないって思えた。
梓の事が大切なら、今度こそ本当の意味で梓を、皆を守らなきゃいけないんだ、私は。
今度こそ……、間違えちゃいけない。
もう絶対に溜息なんか吐かない。
溜息を吐いてる暇なんかあるんだったら、皆の未来について考えるべきなんだ。
その未来に私の姿が無くたって、絶対に皆だけは笑顔で居させてみせる……!
そのためには……。
私は制服のポケットの中に手を突っ込む。
さっき、思い出したんだ。
私がこれを持ってるって事に。
ポケットに入れた手の中に固い感触を感じる。
それを握り込んでから、私は自分の顔の前で手のひらを開いた。
手のひらの中には三つの小さな三角形……、ピックがあった。
和がほうかごガールズのマークを描いてくれたピック……。
純ちゃんと憂ちゃんと梓に渡すつもりだった……、
私達のバンドのピックだ。
色んな思い出が頭の中に浮かんでくる。
「人間は心の中に翼を持てる生き物だって私は思うのよ」
普段の姿に似合わず、ロマンチックな事を言って梓を励ましてくれた和の顔。
「ここはアレですよ?
「頑張る」じゃなくて、「一緒に頑張ろう」って言う所ですよ?」
照れくさそうにしながらも、優しい微笑みを浮かべてた純ちゃんの顔。
「りっちゃんって呼んでも、いいんですか?
いいんでしたら、私も嬉しいです……!」
予想外に私と仲良くなってくれた、憂ちゃんの甘い笑顔。
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