過去ログ - 律「閉ざされた世界」
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510:にゃんこ[saga]
2012/06/03(日) 17:41:24.04 ID:w9A0afgF0
「あ、あずにゃん……」


いつも自分から抱き着いてるくせに、抱き着かれるのは慣れてないらしい。
戸惑った表情を浮かべながら、それでも、唯は梓を抱き締め返した。
感極まったのか、唯の肩も軽く震えてるみたいだった。
そのままの体勢で、唯が震える声で呟く。


「ありがとね、あずにゃん……、皆……。
そうだよね……、皆でまたライブ……やりたいよね……。
音楽……、やりたいよね……。

ねえ、皆……?
私、皆でまたライブやりたいな。
元の世界に戻ってからでもいいけど……、それじゃ我慢出来ないよ。
私、今日……はちょっと無理だけど、明日にはライブしたいな。
それくらい、皆とライブしたい。
いきなり過ぎる我儘だけど……、どう……かな?」


それは唯がやっと見せてくれた生きる事への意志。
私達と一緒に居たいって想いだった。
その意志を見せてもらえたら、もう断れるはずなんかないじゃないか。
断るつもりなんて最初からないけどな。
私は唯の頭に自分の手を言って、笑った。
自分でもびっくりするくらい、自然に笑えていた。


「いいに決まってるだろ?
明日出来るかどうかはともかくとして、明日からライブの準備を始めようぜ?
久し振りだから腕が鳴るよな。
ただ、相当演奏してないから、どんな出来になるのかは怖いが……」


「あははっ、それもそうだよねー……。
でも、私、それでもいいな……。
下手でも、ひどくても、とにかく皆とライブしたいよ。
どんなに下手でもね……、それが今の私達の精一杯だもん」


言ってから、唯も微笑む。
目尻を涙に濡らしながらも、笑ってくれた。


「そうだな……。
下手でも……、別にいいよな」


「そうだね」


「はいっ!」


澪達が次々に頷いてくれる。
この先、どうなるかは分からない。
唯が言ってた通り、また一陣の風で私達の中の誰かが居なくなるかもしれない。
もっともっと辛い事が起こるかもしれない。
それよりも先に私達はライブをしてやりたいんだと思う。
私達が五人で居られるうちに、精一杯の私達の音楽を演奏してみせたいから……。


「ねえねえ、りっちゃん……」


気が付けば、いつの間にか私は手を唯に掴まれていた。
私は首を傾げて唯に訊ねてみる。


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