過去ログ - 律「閉ざされた世界」
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520:にゃんこ[saga]
2012/06/06(水) 18:20:45.26 ID:QW3lfYqc0
「そう……ですよね……。
皆で傍に居ればそれで解決……ってわけじゃないですもんね……。
すみません……。
唯先輩が倒れて、私、神経質になってたのかも……。
妙な事をしてしまって、すみません、お二人とも……。

包帯で繋げばもう離れる事は無いんだって、
傍に居られるんだって、私、律先輩達の事を全然考えてなくて……。
ごめんなさい……、申し訳ないです……」


呟きながら、淡々と私と梓を繋いでいた包帯をほどいていく。
私達が傍に居るために必要だった包帯を……。
ほどいてしまったら、傍に居られなくなってしまうかもしれない包帯を……。

私の……、私の想いは少しでも梓に届いたんだろうか?
私の言いたかった事のほんの少しでも梓の胸に届いたんだろうか?
届いたからこそ、梓は私達を繋いでいた包帯をほどいてくれているんだろうか?
いや、多分……、きっと……。

私は胸が激しく鼓動するのを感じながら、梓の震える手を自由になった左手で握ろうとした。
包帯が無くても、傍に居られるんだって事を伝えたかった。
それだけは伝えたかった。

でも、
その私の手は、
宙を舞って、
梓の手を掴む事が、
出来なかった。

梓の手が私の手を避けてしまったからだ。
拒絶されてしまったからだ。
いや、多分、違う。
私達に拒絶されてるって、私に思わせてしまったからだ。
やっぱり……、私の想いは上手く伝える事が出来なかったらしい……。
結局、こうなるのか、私は……。

私は胸が激しく痛むのを感じながら、
逸らしそうになってしまう視線をどうにか梓に向けて言った。
言わなきゃいけなかった。私達は梓を拒絶したわけじゃないんだって。
一緒に居たいからこそ、繋がれた状態で居たくなかったんだって。


「梓、誤解しないで聞いてくれ。
私達はおまえの事が大切で……」


「分かってます!」


私の言葉が梓の叫びに遮られた。
その悲痛な叫び声に遮られてしまった。
私が何を言うより先に梓が言葉を重ねていく。


「分かってます!
大丈夫です! 私、大丈夫です!
律先輩の言いたい事は分かってますから、平気です!
私……、甘えてたんですよね……?
甘えてしまってた……んですよね……?
律先輩達はそれが私のためにならないと思って、言ってくれたんですよね……?
私達は傍に居なくても大丈夫って事を信じるために、それが必要……な事なんですよね……?
離れてても仲間だって事を信じられる心の強さを……、持たなきゃ……いけないですよね……?

分かって……ます!
分かってます……から、私、大丈夫です!
ほ、本当に大じょ……じょうぶで……ですか……ら……」


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