過去ログ - 律「閉ざされた世界」
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578:にゃんこ[saga]
2012/06/20(水) 17:57:03.48 ID:WKz3Fjby0
「ごめんな、梓……。
おまえの行動が気の迷いだとしたなら、おまえを迷わせたのは私だよな。
私がさ……、部長なのに……、年上なのに……、
おまえが優しかったから、おまえが私を支えてくれたから、
もっと支えてほしくて頼りたくなっちゃったんだよ。
おまえは気に病む必要無いよ、梓。
こればっかりは完全無欠に私の責任なんだ。
だから、もう自分を責めなくても……」


「ねえ、律先輩……。
一つ、訊いていいですか……?」


急に梓が話を変える。
少し面食らったけど、今は梓の言う事は何でも聞いてやりたかった。
私は一息吐いてから、ゆっくりと頷いた。


「……ああ、何でも訊いてくれよ、梓」


「じゃあ……、訊かせて頂きますね……。
あの……、その……、えっと……、
律先輩は……、その……私の……私の事が……。
私の事が好きだから……、あの日、私にキスをしようとしたんですか……?」


「……そう……だな。それは……」


私はそれ以上の言葉を口にする事が出来なくなった。
答えてやりたい質問だった。
あの時の梓を拒絶した以上、梓を迷わせてしまった以上、
絶対に私が答えなきゃいけない質問だった。
なのに……、私はその答えを持ち合わせていない。

梓の事は好きだ。
小さくて可愛らしいし、何だかんだと私を慕ってくれるし、
支えてくれるし、頑張ってる姿も健気だし、ずっと見ていたい気にさせてくれる。
そうだ。私は梓の事が大好きなんだよな……。
でも、恋愛対象かと訊かれてしまうと、話は全く違ってくる。
女同士ってのもあるけど、それを抜きにしても自分の気持ちがよく分かってないんだ。

答えを伝えてやりたい。
想いを伝えたい。
でも、私にはその想いが自分でも分かってない。
歯がゆくて、悔しくて、拳を握り締めてしまう。
私は梓の事を恋愛対象として考えていたから、キスをしようとしてたんだろうか?
分からない……。
どんなに考えてもその答えが出ない……。

私が真剣に考えていた表情がおかしかったのか、梓が小さく笑った。
頬の赤味は少しだけ治まっていて、何処となく嬉しそうな表情だった。


「自分の気持ちが分からないんですよね、律先輩……。
実はですね……、私もなんです」


「梓……も……?」


「はい。私、律先輩の事、あの……、好きですよ。
今言うのも何なんですけど、律先輩って最初は苦手な先輩で、
私、この部でやっていけるのかな、って不安だったんですけど……、
でも、その内に律先輩の事、信頼するようになってて、
一緒に居るのも楽しくなって……、ですから、私、律先輩の事が好きです。
大好き……なんだと思います」


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