606:にゃんこ[saga]
2012/06/24(日) 17:47:36.35 ID:zgF1iagU0
「ええぅっ? 私っ?」
「そうだぞ、唯。
この世界が出来た根本原因は多分おまえだろ?
今時、こんなベタな設定に巻き込むとか、ありきたり過ぎて呆れて来るわ!
だから、皆、苦笑いしちゃってんだぜ?」
「わ、私のせい……だけど、私のせいじゃないよう……。
やりたくてやってるわけじゃないよ……。
でも……、えっと……、ご……ごめん……?」
唯が戸惑った表情で呟いて、私と結ばれてる手で頬を掻く。
理不尽な言い掛かりではあるけど、強く否定し切れないくらいに責任を感じているんだろう。
これ以上からかってやるのも可哀想だ。
私は頭を近付けて、唯の耳元で柔らかく囁いた。
「いいんだよ、唯」
「えっ……?」
「ベタでもありきたりでも何でも、いいんだ。
どんな手段でも、どんな方法でも、私達はもう一度おまえとこうして出会えた。
出会えて、触れ合えて、話せてる。
それは……、すっげー嬉しい事だよ……。
無意識ででもさ、私達の願いを叶えてくれて、ありがとうな……」
「で、でもでも……、そのせいで皆も夢の世界に……」
「それは言いっこなしです!」
梓が真剣な表情になって叫ぶ。
それは唯の事を心の底から大切に思ってるからこそ出せる表情だった。
「この世界に来たのは、私達の意志でもあるんです!
唯先輩だけの責任じゃありません!
もし責任を感じてるんだったら、謝るより先に見つけて下さい!」
「見つけるって……?」
「おまえも目を覚ます方法だよ、唯。
私達だけじゃない。おまえも一緒に目を覚ますんだ、唯」
澪が何度も頷きながら言った後、力強く頼り甲斐のある顔で笑った。
澪はもう決心してるんだ。
これから皆がこの世界でバラバラになったとしても、決して諦めないんだって。
皆で戻れる方法を探してみせるんだって。
そんな力強さを持って、澪が続ける。
「まだ具体的な方法が分かってるわけじゃない。
でも、きっと出来るはずだって私は信じてる。
大体、他人を自分の夢の中に引き込むなんて凄い能力だよ、唯。
その能力を上手く応用すれば、おまえ自身が目を覚ます事だって難しくないはずだよ」
「そう……なのかな……?」
「ああ、大丈夫だ。大丈夫だって信じてくれ。
大体、唯は元々頭で考えるタイプじゃないだろ?
全身で世界を感じて、全身で生きていくタイプだろ?
ちょっとばかり頭にダメージがあったって、唯なら大丈夫だよ」
「えー……、その言い方は酷いよ、澪ちゃん……」
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