過去ログ - 律「閉ざされた世界」
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641:にゃんこ[saga]
2012/06/30(土) 17:58:28.35 ID:zmR1v/Ro0
「忘れないよ、梓」


「律先輩……?」


「元の世界がどうなってても、この世界であった事は憶えてたいんだ。
元の世界でおまえとどんな関係になるとしてもさ。
だから、忘れない。忘れたくないって思ってるよ、この世界の事を……」


「私だって……、私だって憶えててみせます……!
元の世界で律先輩が忘れてたら、耳元で怒鳴りますからね……!
本気で怒りますよ……!」


「ははっ、お手柔らかにな。
全部は無理かもしれないけどさ、出来る限りは憶えておきたいよな。
連鎖記憶……って言うんだっけ?
ほんの少しでも憶えていたら、それをきっかけに芋蔓式に全部思い出すってあれだよ。
だから、少しでも憶えておけたらいいなって思う」


「……お願いしますよ?」


「ああ、おまえも、な」


そうして、二人で顔を合わせて微笑み合った。
信じるんだ、未来と自分の想いを。
梓の想いを。


「さて、と……」


私は梓から身体を離すと、目の上に手をかざして周囲を眺めながら言った。


「今更だけど、ここ、京都……だよな?」


「だと、思うけど……」


私の質問に応じながら、澪も私に倣って周囲を見回した。
それに続いて梓、唯、ムギも辺りに視線を向ける。


「やっぱり、京都……だと思うよ?
おさるさんに会いに行く時、通った橋だよね?」


「ムギもそう思うか……。
だったら、やっぱりここは京都なんだろうな……。
まあ、唯の夢の中の京都って意味だけどさ……。
知ってる所で助かったけど、しかし、何でまた京都なんだよ?
京都に何かあったっけか?」


私が愚痴るみたいに言うと、唯が声をちょっと大きくして反論した。


「何言ってるの、りっちゃん!
京都ってすっごいいい所だし、また来たかったんだよ!
私、京都大好きだよ!」


いや、私も京都が嫌いってわけじゃないんだが……。
と言うか、やっぱそういう事だったんだろうな。
今回の京都もそうだけど、さっきまでいたロンドンも、
結局の話、唯がもう一度行きたかった場所だったって事なんだろう。
夢の世界とは言え、強く印象に残った場所でないと再現のしようもない。
それくらい唯は卒業旅行と修学旅行を楽しんでたって事なんだ。
まあ、私だって楽しかったけどさ。


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