過去ログ - 文才ないけど小説かく(実験)
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221:ウイングレス・ガーリィ(お題:ハンバーガー) 14/16 ◆pxtUOeh2oI[sage saga]
2012/04/13(金) 00:05:14.49 ID:+8WHHyx8o
「いつ!」
 あたしは貪欲に突き進む。あたしの辞書にはいろいろな文字が載っていないし、いろんなところが丸で囲んで
あるみたいだ。
「彼が大学を卒業したとき」
 ついこないだ!
 先生のシニョンがほどかれている。しだれた髪を絡めるよう指が動く。元教え子で、歳も十は離れている。そ
んな彼が、乱れる息にあわせてはずむ背中の傷跡に、なまめかしい舌を這わせるのだ。這わせたのだ。
 きゃあ、いやらしい。
 あたしの想像が世界をかけめぐって氷山を溶かすように熱くなる。
 でも、一回ってそれじゃあ。
「それまではしなかったんですか?」
「まず、声を少し落としたほうが良いかと思います」
 先生の指摘に一旦、表面上は冷静さを取り戻した。だけど、内側ではマントルが煮えたぎっている。
「そういう約束でしたから、彼からの」
 はじめが失敗だったから、真剣さを伝えるために、そんな条件を持ち出したのだろうか。
 大学生なんていったら、安アパートで春樹するのが世の常みたいなものなのに、生殺しで……。耐えられるの? 
先生も。
「先生はそれでよかったんですか?」我慢できたんですか、という言葉は選択肢からなんとか除いた。
「デートはしてましたよ。映画見に行ったり、動物園行ったり、手をつないでね」
「そんな中学生みたいな」
「楽しいですよ。中学生みたいなデートも」先生は笑う。「そんな一緒にいることが楽しめなかったら、あなた
が言うように本当に体だけになってしまうでしょう?」
 クーヘレン先生の言っていることはもっともだ。どう考えてもあたしのほうがブレている。
「それに、我慢したほうがおいしいでしょ」
 大人だ。きたない大人をあたしは見た。こんな綺麗なくせに心はぜんぜん純真じゃない。なのに楽しそうだ。
 おいしかったんですか? と聞こうとした。そんなところで、テーブルの上のあたしのケータイがまたふるえ
た。ミィコか? いいところで邪魔をしやがる。
 先生に目で合図を送って、許可を貰う。向こうのケータイも何か着信があったらしい。先生は画面を見て顔を
しかめた。
「メール、ヒェングラートさんからでした」


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