過去ログ - 文才ないけど小説かく(実験)
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569:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]
2012/07/03(火) 15:08:22.99 ID:sT2Fhxi60
お題ください


570:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)
2012/07/03(火) 15:09:26.11 ID:IDKx84Iio
>>569
瞬間


571:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)[sage]
2012/07/03(火) 15:24:18.90 ID:Wt0F1syq0
>>569



572:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]
2012/07/03(火) 16:23:07.47 ID:YAEtqmmdo
>>569
百合


573:世界から与えられる罪と罰(お題:瞬間)1/4[saga]
2012/07/03(火) 17:47:09.34 ID:sT2Fhxi60
犬を殺した後で彼は、いつもの喫茶店に向かった。
 その喫茶店はコーヒーの味がとても美味く、それ以外の品は全てゴムのような味がするという些か変わった店だった。 
 彼は店の中へ入る。扉を開けた瞬間にベルがヒステリックな音を立てて彼を迎えたが、しかし店内に彼以外の客の姿はなく、マスター以外の誰も彼に目を向ける者などいなかった。彼はこの酷い音を立てるベルのことが大嫌いだったが、このあたりにある喫茶店の中ではこの店が一番不人気であったため、人が居る場所が苦手な彼は、この店を選んで通っていた。
 彼は誰とも目を合わせないようにここまでやってきて、マスターとも目を合わせないようにして、いつもの席に向かった。

以下略



574:世界から与えられる罪と罰(お題:瞬間)2/4[saga]
2012/07/03(火) 17:47:47.17 ID:sT2Fhxi60
 そう言いながら彼女は犬のしっぽを全力で引っ張った。犬の腹を足で踏みながら彼女は楽しそうに犬のしっぽを引き千切ろうとした。犬はけたたましい鳴き声を上げる。犬は彼女に向かって、その圧倒的理不尽に向かって叫んでいた。なぜ突然、そのような痛みを与えるのだ! 私は愛されていたのではないのか! この世に生まれ、しっかりとした優しさにくるまれていたのではないのか! そう言うかのように、犬は彼女と、その後ろにそびえる理不尽な暴力に向かって吠えていた。 しかしながら犬は、途方もなく無力だった。犬はどうあがいても犬だった。
 そして彼女は柔らかくふわりとした犬の尻尾を引き千切った。犬はもちろん暴れた。主人である彼女に鋭い牙を向けたが、彼女はそんなことでうろたえなかった。頭のおかしい奴は、ほとんどの事でうろたえることがないのだ。
 彼女はまず犬の目を殴った。犬はおとなしくなり、やがてそれを静かに受け入れるように、黙って殴られ続けた。それはとても従順で、美しい姿だった。僕はその時、初めてその犬のことを美しいと思った。これが罰なのだ、私に対して与えられる、相応の罰なのだ、とでもいうように、犬はその罪のなき罰を厳かに受け入れていた。
 その後、彼女は犬に対して思いつく限りの拷問を与えた。それらがすべて行われた後で、彼女は彼に向かって包丁を手渡した。彼女は彼に、その犬の首を切ってくれないかと頼んだ。まだ微かに息のある犬を、世界に向け必死に呼吸をしている犬を、彼女は殺すように命じたのだ。彼は躊躇した。もちろんのこと彼はそこまで頭のおかしい人間ではなく、道義、倫理、理性、常識、そう言った、社会で生きていくべき、或いは普遍的に生きていくべきものをきちんと持ち合わせていた。些か暗く、人間嫌いで社交性のない面もあったが、彼はそこそこまともな人間だった。
 しかしそう言った常識を超えて彼女は美しく、とても純粋で綺麗な娘だった。彼としてはそんな彼女に嫌われたくなかった。彼女を否定することをしたくなかった。故に彼は頷いたのだった。
以下略



575:世界から与えられる罪と罰(お題:瞬間)3/4[saga]
2012/07/03(火) 17:48:29.99 ID:sT2Fhxi60
マスターが、この店で唯一美味と言えるコーヒーを運んできた。
 既に時刻は午後一時になっていて、お昼時であるのも関わらず、この店にランチを食べに来ようなどという、ユニークな客は現れなかった。
 そのあと一時間ほど、彼はその店でコーヒーを飲みながら、特に何をするわけでもなく座っていた。
 しかしながら彼はその、ふと与えられた穏やかで幸福な時間の中で、唐突に犬を殺した瞬間の事を、はっきりと自覚的に思い出したのだった。
犬を殺した瞬間の、ある一つの悟りのようなものが頭に浮かび上がってきたのだ。
以下略



576:世界から与えられる罪と罰(お題:瞬間)4/4[saga]
2012/07/03(火) 17:49:13.34 ID:sT2Fhxi60
 コーヒーの水面に映る彼の目は、すでにもう世界に対して怯えきっていた。
 世界の果ては確実に君を捉えるし、空と海が交じり合ってでも罪は君を巻き込もうとするだろう。 
 テーブルに置かれたメニュー表には確かにそう書かれていた。
 彼はもう自首したかった。誰に向かって自首すればいいのか分からなかったが、自首して匿われ、しかるべき場所で、安全に罪を償いたかった。
 彼は目の前の壁を見つめながら考えた。言葉にならない何かがたくさん浮かんでは消えて行った。彼は壁を見つめながら、混乱していく。壁はいつまでも白く、硬く、四方八方を塞いでいた。
以下略



577:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]
2012/07/03(火) 18:59:21.04 ID:nkcgOl3AO
>>573
ある程度の、胸くそ悪いと思わせる力が素晴らしい
分かりやすく簡潔に淡々と描き、かつ余分なものがない
一行目で「読もう」と決めさせてくれるのも正直有り難かった

以下略



578:心からの想い(お題:心)1/3[saga]
2012/07/03(火) 19:07:24.78 ID:sT2Fhxi60
 ある日、僕は心を拾った。
 それは薄桃色をしていて柔らかく、とても純粋で綺麗なものなのだけれど、僕は誰もいない放課後の教室に落ちていたそのピュアな心を、思わず拾って鞄に入れてしまったんだ。

 そして家に帰って、その綺麗な薄桃色の可愛らしい心を、僕は部屋の引き出しにそっと仕舞った。誰の物かわからないけれど、ふと好奇心が湧いてしまって、そのピュアな心を家に持って帰って、じっくりたっぷり眺め倒してやろうと思ったんだ。
 とりあえず誰にも見られたくなかったから、こそこそと持って帰ったわけなんだけれど、僕には昔からそう言うところがあって、とりわけ心ともなれば、とりあえず誰にも見られたくないから、隠したくなるというものだ。当然だろう? 僕は自分の心だって、本当に親しい人にしか見せたくないんだ。実のところ(お分かりかも知れないが)僕の心はあまり美しくないし、他人に見せびらかすほどに素敵な心ではないんだ。
以下略



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