608:あとあじ(お題:飴玉)2/5
2012/07/08(日) 22:16:33.50 ID:KGdJr4PQ0
部活をしていない高校二年生にとって夏休みというものは恐ろしく長い。
それにこの暑さだ。
なにもしたくない。
机に上半身を預け、
だらりとしていると窓の外からさらりとした風が吹き、ブラウスを揺らした。
私は唐突に起き上がり、
「涼しい所に行こう!」
そう正哉に提案をしてみた。
宿題の問題集から私へと視線を移動し、
少し考えた素振りを見せ
「市の図書館でも行く?」
正哉はさっきの風を感じなかったのだろうか。
もし感じていたのなら、
「市の図書館」などというすっとんきょうな答えにはならないはずだ。
「人工的じゃなくて自然に涼しいところ。例えば、軽井沢とか」
「えっ?まさか今から!?」
その驚き様があまりにも可笑しく、少し声を震わして
「そんなわけないでしょ」
と突っ込みを入れた。
「よかった……」
正哉が呟き、安堵のため息と笑みを漏らした。
こういう時の正哉の表情が私は少しだけ好きだった。
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