過去ログ - 文才ないけど小説かく(実験)
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860:少年よ五百円玉を抱け 4/10 ◆1ImvWBFMVg
2012/08/01(水) 07:45:23.36 ID:idTh5FcP0
いなものです』
「天使……?」
『ちなみにいまわたしを抱きかかえることは出来ません。もちろんこれは、まだあなたが
そうしたいと思っているならの話ですが』


 超越的存在である少女の口振りは、まるで世間話でもする友達のようだった。
『いや直接、現実的に干渉することだってもちろん出来なくはないのですよ。けどですね
ぇ、それなりの代償もありますので。しかもそのそれなりがですね、ちょっと大きすぎる
代償というか』
「大きすぎる? 一体どんな代償ですか」
『そこであなたです。慈愛に満ちたあなたのような人が必要です。わたしの代わりに恵ま
れない人々に愛の手をさしのべてくれませんか?』
 ありえない。誤魔化された怪しさもそうだが、それ以前にいろいろと本当におかしな点
ばかりだ。とにかく面倒くさそうになってきたので、ひとまずここは安全策として逃げる
ことに決めた。
「ちょっとバイトがあるので失礼します」
『あ、じつは言っていませんでしたが、そのバイト先でこれから事件が起こります。あな
たの勤めているキッチンで今日夕方にね』
「はい?」
『ちなみにあなたはその事件で死にます。そのほかも大勢の死人やけが人が出る予定です。
お話し聞いていかれます?』



 黙って聞いていると頭がおかしくなりそうで、なるべく足を動かし、その五百円玉から
流れてくる少女の話声に耳を傾けていた。
「なるほど。つまり今日事件が起きるのはどうしたって避けられない事態だと。……ちな
みに僕がバイトに行かずこのまま逃げたらどうなりますか?」
『どうもなりません。死ぬ数が一つ減るだけです』
 あまりにあっさりと言うその突き放した物言いに、冗談めいた響きは一切感じられなか
った。
「あの……どうすればいいんですか?」
『あなた次第です。そして事態を変えることができるのは、おそらくあなた一人だけでし
ょうね』
「事前に警察に連絡するというのは」



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