過去ログ - 文才ないけど小説かく(実験)
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986:あなたの声を祈りによって聴く可能性について4/10 ◆ihO9dxzf9I[sage saga]
2012/08/12(日) 23:39:43.66 ID:30xXBl/o0
 その川城から、性格ってどう変えられるのかな、と訊かれた。そんなもの生まれつきだろ、どこまで行っても同じまん
まだよ、と返すと、だよな、と事もなげに言う。
 話を聞きつけた岡崎さんが、性格って生まれつきのものもあるんだけど周りとの兼ね合いで決まることもあってな、と
教えてくれた。たとえばクラスと部活の立ちふるまい方はそれぞれ違う、それだけでなく苦手な人間と好きな人間との接
し方も違う、そういう風に性格は周りと自分をかけ合わせることで決まっていく、世間ではそのギャップが嫌で「本当の
自分」なんてものを求める流れが絶えないけれど、自分っていうものが相手によって決められるからには本当も何も、ど
れも自分でしかない。川城は岡崎さんを見ながら、岡崎さんの外面のみならず中身まで見透かそうとするように視線を変
えずに話を聞いていて、面白いですね、それ、他人の数だけ多くの自分がストック出来るってことなんだから、と感心し
ていた。
 部活が終わった後岡崎さんが駅まで一緒に行こうと誘ってきた。川城もあいつなりに考えてたんすね、と言うと、あい
つはいつも考えてしかいないんじゃないか、自分がどういう立ち位置にいるか、どういう行動をすればいいか、しっかり
と見据えている、さっきの話には続きがあってな、自分の周りをしっかりと踏まえられる人はそこで空中かどこかに自分
の居場所を、絶対に崩れない自分の足場を確保出来るんだよ、それが「本当の自分」ってやつかはわからないけど、たま
にいるだろ、いついかなる時もマイペースでいられる人、川城はそういうヤツじゃないのかな、と言った。俺からすれば
そういうことを背筋を崩さずに言える岡崎さんこそ、と言いたかったが、駅に着いてしまったため途切れてしまった。
川城は良くも悪くも自分のことばかり考えている人間だと思っていたが、表立てないだけということもあるのだろうか。
 7月9日(月)晴れ
 今日でこの日記を書き始めて2週間。岡崎さんに成果はどうだ、と訊かれる。2週間ではなんとも言いようがない。モ
ヤモヤしたものを文章にしてみるとすっきりとしてくるから悪いものではないと思う。読み返してみると意外と面白いこ
とを考えていると思わないか、と来たが、まだそこまではいかない。日記を書いてて楽しいですか、と切り返してみる。
日記を書いてる間はともかく、物事が面白く見えてくるってことはあるよ、キリスト教は毎日礼拝をするけど、礼拝堂で
神の訓示やら讃美歌を声にすることで神の視点を手に入れた上で俗世の一日を迎えるんだそうだ、その点、日記を書くの
も祈りみたいなものかもしれないな、と(笑)付き。祈り。話が明後日の方に行ってやしないか。
 7月10日(火)晴れ
 来週から期末テストが始まるので部活も一週間休み。公園に行けばリングがあるから練習のしようはある。川城と1on1
に明け暮れているとテストはどうよ、と訊かれる。数学と英語はなんとかなるが現代文と歴史が危うい。川城は歴史は得
意だが数学が苦手だというので図書室で共に勉強することに決まった。九州の雨が酷いらしい。


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