過去ログ - 文才ないけど小説かく(実験)
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988:あなたの声を祈りによって聴く可能性について6/10 ◆ihO9dxzf9I[sage saga]
2012/08/12(日) 23:41:47.86 ID:30xXBl/o0
 7月15日(日)晴れのち曇り
 サエからメール。勉強中は勘弁してくれ。最近勉強に励んでいるみたいだけど、行きたい大学でもあるの? とのこと。
考えてもいなかった。180を越えない背でバスケを続けるつもりはないから、推薦はない。今から名門に入るほどの頭
も養えないだろう。どうすればいいんだろうな、と放り出してみると、ちゃんと考えとけ、と拳のアイコンが加えられる。
 目の前のことばっかり考えて将来のことを考えないのはアンタらしい、と呆れられたが、愉しむにつけ苦しむにつけ目
の前のことに精一杯にならないと乗り越えられないんだよ。お前や岡崎さんほど他人に気が使えるわけでもない。こうし
て日記で書いてやっと今の自分が保てている有様なのに、将来なんて、と愚痴っぽい文面に嫌気がさして返信を怠る。
 もうちょっと他人に頼ってみたら? と不意に咎められる。自分のことを他人にぶちまけたところで聞いてもらえるの
だろうか。聞いてもらえたところで、わかってるわかってる、となだめられるのも違う気がする。自分のことくらい自分
で出来る。また愚痴が並べられる。じゃあ俺はどこの大学に行けばいいんだ? と頼ってみると、そういうことを言って
るんじゃない、目の前のことを少しでも他人に手伝ってもらってから生まれた余裕で将来を考えろって言ってんの、と激
怒の顔文字。ごもっともだ。本当にサエは優しい。
 7月16日(月)曇りのち晴れ
 今日からテスト。現代文と歴史に当たる。手ごたえは悪くない。難関を乗り切ればあとは悠々とした航海が続く。帰り
は公園でバスケ。途中でリュウタ君も加わったから3on3が出来た。
 7月17日(火)晴れ
 二日目は数学・物理・倫理・古文。数学以外は程々。神に関する問題にて、倫理の幡野が熱弁していたことを思い出す。
神は何でもかんでもやってくれる存在というより、人間に理解できない何もかもをやってしまう存在だと言ってしまった
方が正しい、神が起こすとされる天変地異はなんの意図もなく起こるし、それを悪とするのは人間の勝手な価値づけでし
かない、神には人間の言うところの善もないし悪もない、神とはこの世界に潜んでいる不思議と対応する、あらゆる科学
も初めのころはそうした神秘を解き明かす欲求と結びついていた、神を信じるとは不条理な世界を信じることであって、
世界を生きのびる力を養うことでもある……。
 もっとまとまっていたはずだ。うんざりせずにノートを取っておけば良かった。
 7月18日(水)晴れ
 テスト終了。結果は上々だと思う。体育館に行きたかったが、その前に幡野の許へ。神の話をしてもらおうと思ったが、
忙しかったようだ。また後で、と言いかけたところ突き放すのも癪だったのか坊主頭を掻いて、これを読書感想文のタネ
本にしてみろ、わからなかったらまた来い、と文庫本を渡された。『レヴィナスと愛の現象学』。神の話のみならず面白
い話だらけだそうだ。もっとも、哲学がわかってる人間にとっては、との前置きつき。
 放課後は自主連。広松が調子づき始めてきた。一年の中では一番うまい。だからこそ徹底的に叩く。


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