過去ログ - 妹の手を握るまで(その2)
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33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/01/30(月) 18:46:02.31 ID:6CbUUs6xo
どうぞどうぞ


34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/01/30(月) 18:50:03.42 ID:J0Cn4zrQo
やっぱこのままじゃ妹友可哀想だよね
そう思ってる人が他にもいて、妹友推しの俺としては嬉しい


35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/30(月) 23:26:01.09 ID:eVa5ekcTo
クリスマスイヴの晩、あたしは久しぶりに先輩と会った。
受験が終わるまで試験勉強に専念しあたしとも会わないと宣言した先輩だけど、前日に急に電話して来てイヴだし食事くらいしないかと誘われたのだった。

普段のあたしならそんなことしている場合じゃないでしょ、くらいのことは言って先輩をたしなめたと思うけど、その時のあたしはイヴの夜に一人で自宅でテレビを見て過ごすのが怖かった。最近学校では委員長ちゃんが声をかけてくれ行動を共にしてくれているせいで、一時期ほど孤独ではなくなっていたあたしだけど、帰宅後、家で一人きりなのは相変わらずだった。
夜一人で時間を過ごすことにはだいぶ慣れてきたあたしだったけど、さすがに華やかなイルミネーションで飾られた街を一人で帰宅しイヴの夜を一人きりでテレビを見て過ごすのは嫌だったのだ。お兄ちゃんがいなくなってからはファミレスに行くこともなくなっていたので、食事もコンビニか近所のおそば屋さんの出前になるだろうし。
以下略



36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/30(月) 23:30:23.70 ID:eVa5ekcTo
待ち合わせ場所に行く途中、とりあえずあたしは先輩へのプレゼントを買った。急に今日のデートが決まったために吟味する時間もなく選んだプレゼントは受験勉強に励んでいる先輩のための外国の老舗ブランドのシャープペンシルだった。無難と言えば無難な品物だった。

あたしは先輩と待ち合わせしている駅前広場の方に足を早めた。夜に人と会うこと自体久しぶりだったし、イヴに久しぶりにお洒落して外出できたのも望外の喜びだった。あたしが先輩と会うのをこんなに楽しみにしているのは付き合い出してから初めてだったかもしれない。

先輩とのデートを楽しみにしている反面、先輩に対する罪悪感もあった。この間、先輩を学食に呼び出したのは先輩と別れるためだった。結果としてあたしが別れを切り出さなかったのはお兄ちゃんが妹友ちゃんの告白を受け入れたことを知り、とっさにもうお兄ちゃんとの関係を終わらせようと決めたからだ。先輩と別れようとしたのも、それを思い直して先輩と別れないことにしたのも全てあたしの都合だった。そして今、一人きりで寂しいあたしは再び先輩によって救われようとしている。
以下略



37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/30(月) 23:33:03.13 ID:eVa5ekcTo
先輩が予約してくれた小さなビストロは高校生同士のカップルが入るには敷居が高い場所だったけど、先輩は気臆した様子もなく堂々とあたしをエスコートしてくれた。部活とは別に小さい頃から通っている空手道場で、一緒に学んでいる人がオーナーシェフの店だそうだ。あたしは少し先輩を見直した。先輩にはまだあたしに見せていない部分があるのだった。

お兄ちゃんだったらこういうお店にあたしを連れて行こうという発想はなかったろうな。柔らかな間接照明に照らされた店内で、テーブルにキャンドルが置かれた席に座りながらたしは考えた。せいぜい頑張っても駅中とか集合ビル内のレストランを予約する程度だろう。でも何でこんな時にお兄ちゃんのことを考えるのだろう。あたしはその想いを頭から振り払った。

「今日は家帰って勉強しなきゃいけないから酒は抜きだな」
以下略



38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/30(月) 23:37:37.79 ID:eVa5ekcTo
「あのさ」
先輩が真面目な表情で言った。

「今日で俺たち別れようぜ」

以下略



39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/30(月) 23:39:21.68 ID:eVa5ekcTo
あたしはその頃にはもう涙を浮かべていた。今更自分がまだお兄ちゃんを好きなことに気がついてもどうしようもない。お兄ちゃんと妹友ちゃんは今も一緒にイヴを過ごしている。
でも、先輩をこれ以上悩ませ傷つけるわけにはいかなかった。たとえあたしが本当に一人ぼっちになってしまうとしても。

「ごめんなさい」
あたしは先輩に言った。
以下略



40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/30(月) 23:42:40.84 ID:eVa5ekcTo
妹友ちゃんからの着信だった。いったいどうしてこのタイミングで電話なんてかけてきたんだろう。
でも出ないでいられるほどあたしは強い人間ではなかった。イブの夜の妹友ちゃんの電話に出なかったら、その後徹夜で何の用だったか悩むことになるだろう。妹友ちゃんはこの瞬間もお兄ちゃんと二人で過ごしているはずだった。

「ちょっとごめんね」
あたしは先輩に断って電話に出た。先輩があたしの顔をじっと見つめているのを感じながら。
以下略



41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[sage]
2012/01/30(月) 23:43:31.02 ID:eVa5ekcTo
今日はここまでです

駄文長文にお付き合いいただき感謝です

明日も投下できると思います
以下略



42:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県)[sage]
2012/01/30(月) 23:48:13.04 ID:XVUnq5AKo
おつかれちゃん
先輩イケメンに見える


43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]
2012/01/30(月) 23:50:25.52 ID:iSSh+DCFo
乙です


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