過去ログ - 女神
1- 20
815:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/05/05(土) 23:02:03.05 ID:wMLLgnF4o
 僕の告白に応えなかった幼馴染さんだけど、その後の生徒会活動には普通に顔を出してくれていた。学園祭が近かったので、今では主戦力となっている彼女が僕のことを気にして生徒会や実行委員会に顔を出しづらくなったらどうしようと思ったのだけど、責任感が強いせいか彼女は普通に活動に参加してくれていた。

 ただ、僕が堪えたのは幼馴染さんがやたらに僕のことを気にするような行動を取るようになったことだった。僕を振ったことを気にしていたのだろうか。彼女は告白を機に僕とよそよそしくなるより、今まで以上に僕に親しく話しかけることによって、僕の告白は気にしてませんよ、今までどおりいい先輩後輩でいましょうと訴えているようだった。

 でも、そんな彼女の行動はかえって生徒会役員たちの好奇心を刺激してしまった。

「会長と幼馴染さん、最近妙に仲良くない?」

「幼馴染さんって本当は先輩狙いだったのかな」

 そんな噂が流れているよと僕に教えてくれたのは、副会長だった。

「ばかばかしい」
 僕は切り捨てた。「だいたい幼馴染さんには、兄友君だか兄君だかがいるんだろ」

「でも最近の彼女、妙にあんたに話しかけたりあんたのそばに擦り寄ったりしてるからなあ」
 副会長は例によってこの手の話題が大好物のようだった。

「あんたのこと、実は好きだったりして」

 そんなことはないことは僕が一番よく知っていた。そしてこの噂を鎮めるには、僕が幼馴染さんに告白し振られたという事実を明かせばそれで澄むことだった。でも、女の彼氏を知ろうとして仕掛けた告白とはいえ、そんな事情まで話すわけにいかないから、それだと世間に出回る事実は僕が幼馴染さんに振られたということだけになる。それは、プライドだけは無駄に高い僕には耐えられなかった。

 なので、無念ながらこの噂は放置するしかなかったのだけど、その後も幼馴染さんは僕に気を遣うあまり、今までより僕に近づき僕に優しく接することをやめなかった。それは、僕の精神状態に微妙な影響を与え始めた。僕はあくまで作戦の一環として幼馴染さんに告白する振りをしただけなのだけど、幼馴染さんが僕をこれ以上傷つけまいと、告白前と変わりないというか告白前より親密に接してくれるようになると、僕は何だか本当に彼女に振られたような気分になってきた。

 ただでさえ、女の僕に対する本心を知った後なのに、幼馴染さんに本気で恋して、そして振られた気になっていった僕は、だんだんといつもの冷静さを失うようになっていった。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/882.22 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice