377:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/15(水) 20:11:49.40 ID:EmuY6hvN0
そこで。
ドクの目が、部屋の片隅に無残に転がっていたカランの骨羽の残骸を目に留めたと同時に。
目の前の化け物が、背中を丸め力を込めた……と思った瞬間、跳躍した。
掻き消えた。
飛び上がったと思ったのはつかの間で、見逃すはずもない巨体が消えた。まるで蜃気楼のように、フッと無くなったのだ。
「は……?」
あんぐりと口を空け、停止したドクの首を、不意に抱きかかえていたカランが痙攣している手を伸ばし、力の限り掴んだ。そして頭を下に向けさせる。
転びそうになりつんのめった彼の後頭部を、いつの間に移動したのか――友人の爪が横向きに凪いだ。
「キャルルルルルルルルルルルル」
甲高い高周波のような音を喉から発しながら、鎖帷子男は腕を振りぬいた。いつの間に移動したのか、さっぱりわからなかった。気配も何も感じさせずにドクのすぐ背後に立ったゼマルディは、太い腕をそのまま合成コンクリートの壁に叩きつけた。指先から伸びていた爪が、鉄にも匹敵するその壁に半ばまで突き刺さり、亀裂を走らせる。
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