384:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/15(水) 20:21:00.55 ID:EmuY6hvN0
ガタガタガタガタと周囲の家具や壁……いや、空間それ自体が怪物の体中から噴出する白い煙の圧力に押されて、振動し始める。空気の粒子から震えているようだった。
夫の雄たけびを聞き、その叫び声が途切れた後。カランは疲れきった顔で嬉しそうに目を閉じた。
「ちょっと……寝るね…………」
しばらくの間、ゼマルディはカランのことを発光する瞳で見ていた。
やがて彼は。
妻がか細い、虫のような寝息を立て始めたのを確認し、後ろに足を軸にしてぐらりと倒れこんだ。そのままプールに飛び込みでもするかのように、その異形の体が何もない床に沈みこみ、トプリと消える。
ドクは、しばらく経っても立つことが出来なかった。ただひたすらに少女の陰惨な傷口を押さえながら、その場にへたり込んでいた。歯がガチガチと意識しないのに噛み合っている。顎の筋肉が意思を離れたみたいに言うことを聞かない。
あれが、龍。
――あれは、龍。
人間では、ない。
979Res/589.08 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。