499:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/18(土) 19:13:31.75 ID:rIc6JsyG0
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虹は、ガンガンと痛む頭を手で抑え、そしてよろめきながらハンモックから降りようとして失敗し、ゴロリと床に転がった。
(あの子の……フィルレインの記憶……どうして、夢の中にまで……)
苦痛を息と共に吐き出そうとしてまた失敗する。目が霞む。
必死に手を伸ばし、ガゼルの後部座席を手で叩く。
待機モードになっていたピノマシンロボットの電源がつき、ガゼルがケーブル越しの脳波通信で応答してきた。
『虹、目が覚めたのか?』
『頭が痛い。鎮痛剤を頂戴』
『分かった。少し待ってて』
彼は端的にそう答えると、軽くエンジンをふかした。後部の穴から白い煙が出て、空中で寄り集まって形を変え、小さな注射器を形作る。
虹は空中でそれを掴むと、無造作に自分の左肩に刺した。
中身の液体を体に流し込んで、息をつく。
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