55:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/08(水) 16:52:27.70 ID:A45p+aH70
爪は暫くの間浮屋が出て行った方向を見ていたが、やがて胸ポケットから彼のカードを取り出し、忌々しそうに手の上で弄んだ。
すぐにでも叩き割りたい衝動に駆られたが、あの老人を師が尊重していることを思い起こし、止めておく。
――何というか、愛寡は優しすぎる。
本当に、浮屋が言うとおりに溝猫に過ぎない自分に対して、こんなにも優しくしてくれる。
――そして、絶対に怒らない。
彼は、愛寡が怒ったところを見たことがなかった。
次こそは殴られる……と何度覚悟したことか分からない。今日だって、自分がやった浅はかな行動で気絶までしたのに、ミルクを飲んでからはニコニコしながら礼拝堂に帰ってきて、参拝している。
壇上ではこの信教の教会長が、白く長いローブを着ながらマイクに向かって言葉を発している。特に服装の指定はないので、集まった人間達は一様に私服だ。子供連れや老人、男女のカップルなど様々だ。
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