594:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 18:05:22.55 ID:WO2eriwB0
「師匠……はたいた。俺、はたかれた……?」
呆然として呟く。
次いで、爪は小刻みに震え始めた。
595:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 18:05:56.00 ID:WO2eriwB0
「…………」
「怒られるだけ、幸せ。そう思いなさい」
「俺……嫌われた? 俺、我侭言った。嫌われたか?」
596:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 18:08:59.39 ID:WO2eriwB0
*
手を伸ばした。
その手は空を切り、そして虚しく中空を掻いた。
597:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 18:09:26.21 ID:WO2eriwB0
「絵空事だよ、馬鹿め」
絵空事を信じる全ての人間よ、呪われてしまえ。
絵空事に甘んじる全ての人間よ、死んでしまえ。
598:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 18:10:04.83 ID:WO2eriwB0
手を伸ばした。
その手は暗黒を掴んで、そして手繰り寄せた。
暗黒には、異常なほど質感も重さもなく、ただひたすらに、それは黒かった。
599:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 18:10:37.57 ID:WO2eriwB0
だから馬鹿め。
絵空事なんだよ、馬鹿め。
カッカと哂った。
600:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 18:11:40.16 ID:WO2eriwB0
*
目を開いた。
残った片目を開き、男はぼんやりと上を見た。
601:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 18:12:20.59 ID:WO2eriwB0
「……何だ……」
呟いて、唯一残っている右足を見る。
僅かに血液がこびりついた後がある。
602:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 18:30:36.38 ID:WO2eriwB0
「会話が可能なのか? 俺の言葉が分かるか? 分かったら、返事をしてくれ」
男は、自分の顔面の半分を覆い隠しているピエロマスクの位置を直すと、無表情に少女達を見た。
そして、ボソリと呟くように口を開く。
603:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/20(月) 18:32:10.19 ID:WO2eriwB0
ポンポンとガゼルと呼んだバイクを叩き、虹と言った女の子は、
相変わらずの無表情のまま、機械の声を借りて男に聞いた。
「名前を教えてくださる?」
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